では、どんなカスハラ被害に遭っているのだろうか。今回はAll About編集部が実施した「カスハラ」に関するアンケート調査(※)から、医療機関でのカスハラエピソードを紹介する。
「俺が気に入らないんや」「医者呼んで来い」
「20代の頃、医療機関に勤務していましたが、その日は患者さんもさほど多くなく待ち時間は30分ほど。それくらいだったら高齢の方は待つとおっしゃっていたのですが、急患が入り当初の予定時間より大幅に遅れが生じ、それがあなたのせいだ、先生に言いつけてやると大声でみんなにきこえるように言われた」(40代女性/兵庫県)「もともと病院で働いており、クレーマーのような患者は多かったです。中でも、リハビリの常連にもかかわらず、毎回大声で『こっちが聞こえるようにしゃべれ』『俺が気に入らないんや』『医者呼んで来い』『殺したるわ』など、ほかの患者さんがいても大騒ぎするおじいさんがいました」(30代女性/北海道)
「病院で働いていた時に、外来の待ち時間が長くかなり怒鳴り散らかされたことがあります。予約時間はありますが、予約より2時間も前に来て何時に来てずっと待ってるなどと言われ、毎回検査などで待ち時間も長いので待ち時間は多少あること、予約の時間まで埋まっているので予約時間にしか呼べないためその時間に来てくださいと伝えているのに、早くに来て毎回怒鳴る人なのでなだめるのが大変です。周りの待っている人も怖がって別室でお話を聞きますと毎回なります」(40代女性/熊本県)
「私は病院薬剤師として、患者さんと接していますが、外来患者さんの中には薬が足りないと毎回いってきて、横取りをしていくような人がいます。この薬がないと死んでしまう、お前は私を殺す気かといって足りないという薬を奪っていきます」(50代男性/埼玉県)
本当に自分のせいみたいで涙が出そうなった
続いて、先ほどの回答者に迷惑行為の被害に遭ったときの感情と、カスハラを予防、回避するためにしていることを聞いた(コメントの並びは上記同様)。「大声でみんなに聞こえるように言われたので、本当に自分のせいみたいで涙が出そうなった。その日一日落ち込みがひどかった。とにかく冷静に、個人的な感情は抑えるべきかと。前もって、こんな事が生じたら遅れる可能性もあると伝えるべき」
「自分の感情を抑えられないじいさんなんだ、周りからも嫌われて1人で死んでいけばいいのにとまで思ってしまいました。とっさに思った感情としては、怖いと思いました。長年病院で働いていたので、なんとなく危なそうな人がわかるようになってきました。そのため、なるべく近づかない、どうしても話さないとならないときは、弱い女だと思われると向こうが大きく出るので、こちらは声を大きく、太い声を出すようにして、強い女アピールをしています」
「何度言っても自分の主張しかしないな、怒鳴ればどうにかなると思ってるのかなと冷静にみてました。説明をしっかりすること。否定はせずただ謝って待ち時間長いのできついですよねなどなだめるようにしている」
「薬の値段も高いので、病院の収益に関係するかもと考えると憤りを感じます。一度受けたら二度とされないような対策をしています。お金があれば動画を回しておきたいのですが、なかなかそこまではお金がなくできません」
カスハラの被害に遭うのは労働者だけではなく、それを周りで見聞きしているほかの客も含まれる。迷惑行為によって業務が遅れれば、他の客がサービスを受けられなくなってしまう。従業員と客のどちらもケアできるカスハラ対策が必要なのだろう。
<調査概要>
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2024年6月13日~2024年6月23日
調査対象:140人(男性:39、女性:99、その他:1、回答しない:1)
回答者のコメントは原文ママ
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