上昇志向がない男はモテない?
一方、女性たちはどう考えているのか。「私が前に付き合っていた彼がこのタイプでしたね。そこそこの会社にいるのに、昇進試験も受けない、スキルアップを図ろうともしない。最初は『与えられる仕事だけで手一杯だから』と言っていたけど、半年ほど付き合ってみたら、まったく上昇志向がないとわかったんです。まだ30歳だし、そのまま小さくまとまっていいのかなと疑問を持ちました」
エミさん(31歳)が付き合っていた同世代の彼は、最初のうちこそ週末、外でのデートに応じていたが、2カ月もたたないうちに「おうちデート」を提案してきた。
もちろん、たまにはいいけどと言ったものの、家では何をすることもなく、お互いにスマホをいじりながら、まれに一言二言かわす程度。
「倦怠感に満ちた中年夫婦みたいでした。彼は『きみは実家住まいだからいいよ、給料、全部使えるじゃん。オレはそうはいかないんだよ』と言っていた。気持ちはわかるけど、だったらデート用の貯金をするとか、方法はあるじゃないですか。でも彼は何を言っても乗り気にならない」
このタイプは「確かに最近多い」
結局、3カ月と持たずにエミさんから別れを切り出した。彼は「しかたないね」と受け入れたという。その時点で、ふたりの関係はキス止まり。しかも挨拶代わりのようなキスで、恋愛している男女の関係とは思えなかったと言う。「彼は恋愛もどきのことをしてみたかっただけ。私を好きなわけでもなかった。外見もよかったし、ちょっとクールなところに惹かれたんですが、結局、彼は外界のことに興味がないんですよ。そういう人生で楽しいのと最後に怒りながら言ったら、『まあ、こんなもんでしょ』って。さらにムカッときましたね(笑)」
彼には彼の、エミさんにはエミさんの生き方があるということだろう。このタイプの男性は程度の差こそあれ、確かに最近多いとエミさんは言う。
「職場の後輩くんもそうなんです。そんなことじゃモテないよと言ったら、それ、セクハラですよと指摘されました。ちょっと心配になっただけなんですけどね。そうしたら『いいですよ、僕の人生なんだから』って。それもそうだけど、知り合いには楽しい人生を送ってほしいよと言うと、『僕はこれで楽しいです』と断言されました」
考えてみれば、誰もがアクティブに活動する必要もないし、人と親しく交わらなければいけないわけでもない。生き方の選択肢がますます広がっているということなのかもしれない。