貯蓄

みんなの平均貯蓄額は?1904万円【2024年5月発表・最新家計調査】

2024年5月に総務省統計局が発表した2023年の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』によると、二人以上世帯の平均貯蓄残高は1904万円。前年の1901万円から3万円、0.2%増、5年連続の増加となりました。詳しく見ていきましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>

二人以上世帯の平均貯蓄額は1904万円で5年連続の増加

2024年5月に総務省統計局が発表した2023年の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』によると、二人以上世帯の平均貯蓄残高は1904万円。前年の1901万円から3万円、0.2%増となりました。

平均貯蓄額は、多額の貯蓄がある一部の層によって数値が引き上げられるため、実感値とは開きがあります。そのため、貯蓄ゼロの世帯を除いた貯蓄保有世帯を、貯蓄額の低いほうから順番に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄額はいくらかという「中央値」で見る必要があります。

今回の調査では、貯蓄保有世帯の貯蓄額の中央値は1107万円。前年の1168万円より61万円の減少。貯蓄ゼロの世帯も含めた中央値は1032万円で、同じく前年の1091万円より59万円の減少という結果になっています。
貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)

貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)

勤労者世帯の平均貯蓄額は1474万円で前年より34万円の減少

勤労者世帯のみ(高齢者など無職世帯、自営業・自由業世帯を除く)では、どうでしょうか。

平均貯蓄額は1474万円で、前年より34万円、2.3%の減少。貯蓄保有世帯の中央値は895万円で、前年から33万円の減少となりました。貯蓄ゼロの世帯を含めた中央値は836万円で、前年から44万円の減少という結果でした。

勤労者世帯の平均年収は769万円で、前年の768万円から1万円増加しています。
貯蓄現在高の推移(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄現在高の推移(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄の種類は通貨性預貯金が年々増加している

貯蓄の種類を見ると、二人以上世帯全体も、勤労者世帯も、通貨性預貯金が年々増加しており、定期性預貯金の割合が減少しています。超低金利の影響が長く続き、あえて定期預金に預け替えることなく、普通預金などに預けたままという状況であることがわかります。また、NISAなどの影響か、有価証券の保有額が増える傾向にあります。
貯蓄の種類別 貯蓄残高

貯蓄の種類別 貯蓄残高

二人以上世帯の10.0%が貯蓄額100万円に満たない

貯蓄残高の世帯分布を見てみましょう。
貯蓄現在高の世帯分布(二人以上の世帯)

貯蓄現在高の世帯分布(二人以上の世帯)

分布図を見てもわかるように、平均値と中央値には、かなり開きがあります。二人以上の全世帯では貯蓄額3000万円以上の世帯が19.6%で、平均を押し上げる結果となっており、平均値以下の世帯が約3分の2を占めています。
貯蓄現在高の世帯分布(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄現在高の世帯分布(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

勤労者世帯のみの分布図でも、考え方は同じです。3000万円以上の世帯が13.4%で、平均値以下の世帯が、やはり約3分の2を占めています。

ここで注目すべきなのは、貯蓄が100万円未満の世帯が、二人以上の全世帯で10.0%(前年9.7%)、勤労者世帯で11.2%(前年10.5%)であるということです。いずれも、調査全体の約1割の人が、貯蓄100万円未満というのは、かなり厳しい結果と言わざるをえません。

この調査は、全国から抽出した約7300世帯を対象にしたものですから、地域性や年齢、職種などさまざまな事情を考慮すると、また違った結果にもなるかもしれません。しかし全国での平均値や中央値を知ることで、今現在、自分が置かれている状況と比較し、無駄に悲観的になるのではなく、どうしたら貯蓄を増やせるのか、いくら貯蓄したほうがいいのかと考える基準になるのではないでしょうか。

貯蓄100万円未満の世帯の中には、年齢の若い世帯も含まれ、なかなか貯蓄できないという世帯もあるでしょう。しかし、ある一定の年齢になっても貯蓄が100万円に満たないという世帯は、収入が少なすぎるのか、支出が多すぎるのか、こうしたことを見直していく必要があるでしょう。

また、コロナ禍で減収になり、落ち着きを取り戻した今でも収入が思うように上がらず、貯蓄を取り崩して生活を維持している世帯も少なくありません。コロナ禍以前の収入に戻っていない世帯にとっては、物価上昇によって生活コストがアップするという懸念材料もあります。一方、外食、旅行などを再開させている経済的に余裕のある世帯では、家計のコントロールが重要になってくるでしょう。

平均貯蓄額だけでは、現実の生活は見えてきません。この調査結果をひとつのきっかけとして、それぞれの世帯で、お金の流れ、支出のチェック、貯蓄行動を考えてほしいと思います。

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