前向きすぎるポジハラ彼女に疲れ
付き合っていた彼女が超ポジティブだったため、振り回されて疲れ果てたことがあると話してくれたのは、サトルさん(35歳)だ。30歳のときに友人が紹介してくれたマリさんは2歳年下で、サトルさんの好みのタイプだった。話してみるととても明るくて元気な女性。
「僕はどちらかというと引っ込み思案というか、押しの弱いところがあるので、『マリさんみたいな女性が合うと思う』と紹介してくれたみたいです。ふたりきりで食事に行き、楽しかったから付き合ってほしいと言ってOKをもらいました。年齢的にも結婚を視野に入れた付き合いが始まったんです」
お互いに仕事が忙しいので、会うのはほとんど週末だった。会うと彼女はひとしきり仕事の話をする。今の仕事を成功させる、今度はもっと大きな仕事を勝ち取るとポジティブだ。
「僕は仕事で悩んだり苦労したりしているので、あなたはいつも前向きですごいねと思わず言ったんです。すると彼女、『仕事は自分の力で勝ち取って成功させるものよ。どんな手段を使っても』って。ちょっと怖いなと思ったけど、まあ、そういう側面もあるよねと納得しました」
恋愛にもデートにもポジティブで疲れマックス
ところが彼女のポジティブさは、恋愛に対しても同じだった。何もしないデートは許されない。デートでどこへ行って何をするのか、綿密な計画を立てるのは彼の役目。仕事が忙しくて計画を立てられないと言おうものなら、「そんなのすぐできるでしょ。仕事遅いって言われない?」という言葉が返ってきた。「じゃあ、自分でやってよと言ったら、彼女はどこへ行きたいかとリサーチをかけ、僕がたまには海を見たいなと言うと、見事なまでに海へのドライブデートを計画してくれたんです。どこで何時にお茶を飲んでランチをするのか、どの道を通るのか、途中の美術館にちょっと寄る、ここで車を降りて散歩という細かなスケジュールでした。彼女はそれをやり遂げて喜んでいたけど、僕はもうちょっと緩いスケジュールでハプニングを楽しみたかった。前向きはいいけど、詰め込みすぎじゃないかと言ったら怒られました」
半年も経つころには彼女との付き合いに疲れていたとサトルさんは言う。今度の週末は家で映画でも観てのんびりしようと提案しても、彼女は「そんなの時間の無駄。映画なら映画館で観たほうがいいし、今、○○でやっている展覧会、おもしろそうだよ」とアクティブに動くことを提案してくる。
「最後はごめん、もう疲れたわと別れを示唆したのですが、彼女は『体調コントロールも自分の責任だからね、大人なんだから』と説教じみていました。そうじゃない、きみに疲れたんだよと言うと、『大丈夫。私は疲れてないから』と(笑)。前向きも度を超すと鈍感ということなんだと思ったのを覚えています」
マリさんと別れたあと、彼は「ほどほどに前向きで、ほどほどにくよくよする、自分と似たような女性」と付き合い始めたそうだ。