人間関係

「おめでたい」なら言いふらしても許される?職場の「妊娠アウティング」経験者が感じたこと(2ページ目)

たとえ、結婚や妊娠など“めでたいこと”だとしても、秘密にしておきたいのならば誰にも言わないことだ。人は秘密は話す。めでたいことならばなおのことだ。しかも、まったく悪びれずにやってのけるはずだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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「結婚アウティング」をやられた女性も

結婚は「おめでたい」ことだけれど……

結婚は「おめでたい」ことだけれど……

「私は結婚でやられたんですよ、仲良しの同僚に」

怒りがおさまらないような口調でそう言ったのは、キミコさん(34歳)だ。昨年春、3年付き合っていた彼にプロポーズされ、有頂天になって仲良しの同期であるエリさんに話してしまった。

「だけどまだお互いの両親にも会ってないし、彼にはちょっと確かめたいこともあった。プロポーズされて受けたのは本当だけど、ふたりの間に解決していない問題もあるからまだ誰にも言わないでねとエリには言ったんです」

ところがキミコさんの場合も、数日後には知れ渡り、お世話になった以前の上司からは「すぐに知らせてくれると思ったのに」と言われる始末。

「エリに、言わないでっていったのにと怒ると、『だって自分のことのようにうれしかったのよ、だからつい』って。そう言われると怒るわけにもいかなくなった。でもやはり自分から言いたかったですよね。社内で会う人会う人に『おめでとう、聞いたよ』と言われ、『仕事は辞めないよね』と上司に心配され、なんだかなと思ったりもしました」

その後、結婚話が破綻してしまう

実は数カ月後、この結婚話は破綻した。実は「解決していない問題」が大きな問題へと発展したのだ。それは彼の「浮気疑惑」だ。キミコさんはプロポーズ直前、彼の浮気を疑っていた。それを察した彼が求婚に踏み切ったのではないかと思っていたのだ。いったんプロポーズを受けたものの、やはり疑惑は拭えない。彼を追求したら、やはり彼は浮気していた。それでも水に流して結婚しようと決めたが、実際にはプロポーズ後も浮気相手と継続していると、彼の友人がこっそり教えてくれたのだ。

「そんな不実な男とは結婚できない、したくない。そう思って結婚は辞めました。心のどこかでそんなことになるかもしれないと思っていた可能性が高いんですよね、私。だからこそエリに口止めしたんだと思う」

結婚しないことにしたと、同じ部署の人にはすぐに伝えたが、他部署の全員に触れ回るわけにもいかない。そのため久々に会った社外の人などは「結婚決まったんですってね、おめでとうございます」と破談後に言われることも多々あった。

「かっこ悪いですよね。だから言わないでっていったのにとエリに恨み言まで言っちゃいました。でも彼女は変わらず、『結婚やめることになるなんて思ってなかった』と強気の姿勢。同期でいちばん仲のいい、生涯つきあっていける友だちだと信じていたのに、それ以降、距離をとるようになりました」

人生、何があるかわからない。だからこそ、一般的に“おめでたい”とされることであっても他人が本人の了承も得ずに触れ回ってはならないのだ。

口より出れば世間、という諺は真理だ。世知辛いとも思えるが、やはり秘密は自分の胸だけにしまっておくことでしか守れないものなのだろう。
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