このサービスを拡張、進化させているのが「カフェヨシノ」。名古屋を拠点に、愛知県内に17店舗を展開するご当地喫茶チェーンです。
時間帯によっておまけが変わる「カフェヨシノ」の1日中0円サービス
同店のサービスの何がスゴいのか。それはドリンク代だけでおまけがつく0円サービスを1日中行っていること。しかも、朝はトーストとゆでたまご、昼はコッペパンサンド、午後はシフォンケーキ、夜はミニカレーなど、時間帯によって異なるおまけメニューを用意しているのです。名古屋市内や周辺エリアでは、「1日中モーニングサービス」を採用している店はしばしばあるのですが(それもスゴいことですが)、こんなにきめ細かい内容のサービスは「カフェヨシノ」独自のものです。
「1日中0円」のきっかけは物価の高騰?
「午後のアフタヌーンサービスは10年以上前から取り入れていたのですが、ランチタイムと夜は0円サービスのない空白の時間帯でした。どうにかこの時間帯にも、お客様に喜んでいただけるサービスを行えないかとかねてから考えていたんです」そう語るのはカフェヨシノ社長の吉野貴士さん。長年の懸案を解決させることになったのは、意外や折からの「物価の高騰」でした。 「年末の築地市場の大売り出しの報道を見て、『お買い得なことがこんなに喜んでもらえるんだ』と改めて思ったんです。ならばうちも『0円サービス』でもっとお客様に喜んでもらいたい!と考えました」
店の立場からすれば、物価の高騰で原材料費を抑えたいはずですが、あくまでお客目線でよりお得感を打ち出そうと考えたというわけです。これぞ名古屋喫茶ならではのおもてなし精神の鑑!
ファイナルサービスはカレー、ランチサービスはこっぺサンドなど
こうして「カフェヨシノ中島店」(名古屋市中川区)で、2024年2月に「ファイナルサービス」をスタート。内容は17時~22時の閉店まで、ミニカレー、またはクリームぜんざいがドリンクに無料でつくというもの。すると予想以上に大きな反響がありました。 「ファイナルサービスの時間帯は、学生さんや若いビジネスパーソンなどで店内の8割の席が埋まるんです。喫茶店は元来、午前中はシニアのお客様が最も多く、夜の集客と若い世代への訴求がどの店にも共通する課題です。これをまとめて克服できたのです」(吉野さん)その反響に応える形で、この5月には「ランチタイム0円サービス」を導入。「もちもち生こっぺサンド」と名付けられたパンはカフェヨシノのオリジナルで、湯種製法(生地の一部に、小麦粉に熱湯を加えてこねた“湯種”を入れて作る製法)ならではのもちもち感が魅力です。こうしてついに、朝から晩まで1日中0円サービスの体制が敷かれることになったのです。
食べ物主体の飲食店に並ぶ原価をかけ、コスパを高める
さて、喫茶店のモーニングサービスについては、「無料であれこれつけて赤字にならないの?」と心配する声をよく耳にします。ましてやカフェヨシノの場合は480円のコーヒー代だけで常に何かしらおまけをつけています。経営的に大丈夫なのでしょうか?「喫茶店基準の原価計算ではなく、一般の飲食店基準の原価計算の仕組みで考えているんです」と吉野さん。これはどういうことでしょうか?
「一般的に喫茶店のコーヒーの原価率は10数%、食べ物主体の飲食店は30%前後といわれています。お客様からすれば、ドリンクだけの場合、喫茶店の原価率だと少し物足りなく感じてしまう。そこでパンやミニカレーなど食べ物をつけることで、一般の飲食店並に原価率を高くすることができる。原価は高くなるもののお客様の満足度は上がるので、その分たくさんご来店いただくことで売り上げ全体をアップさせれば良いと考えています」(吉野さん) ちなみにランチサービスのパンは原価も十分にかかっていて、お客目線でいえば「非常にお値打ち=コスパが高い」ということになります。
0円サービス導入店も新たなサービスをますます拡大
現在、4つの時間帯の0円サービスを導入しているのは、「カフェヨシノ」の中島店と山王店(中川区)の2店舗。中島店では6月24日よりドライブスルーでのファイナルサービスの導入もスタート。今後は他の店舗にも順次、これらのサービスを導入していく計画だといいます。そしてさらに新たな「0円サービス」のアイデアもあるとか。お得なのは朝だけじゃない! 「カフェヨシノ」の0円サービスで、名古屋喫茶だからこそのお値打ち感、おもてなし精神を満喫してみてください!