人間関係

65歳以上の8人に1人が認知症の時代、それでも「親の介護はしない」と決意する40代女性の声

厚生労働省の調査によると、65歳以上の8人に1人が認知症であることが判明した。こうなるといつ自分や夫の両親がそうなるとも限らない。実母が認知症の初期段階にある人、母の性格に耐えかね「面倒はみない」と決めている人のケースをみてみよう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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高齢の両親がいる場合、だれが認知症になってもおかしくない

高齢の両親がいる場合、だれが認知症になってもおかしくない

65歳以上の高齢者のうち、8人に1人にあたる約443万人が認知症だということが厚生労働省の調査でわかった。認知症も程度問題だが、高齢の親を抱える身にとっては戦々恐々とした気持ちになるデータかもしれない。 

43歳は困惑「発言がコロコロ変わる母」

「近くにひとりで住んでいる母は、最近、どうも発言がおかしいんですよ。昨日と今日とでは正反対のことを言ったりする。昨日はこう言ってたと指摘すると、『言ってない。あんたはそうやって私を認知症に追い込もうとしている』って。こういう被害意識発言もおかしいので、かかりつけの医者に連れていったんです」

困ったような顔でそう話すのは、リカさん(43歳)だ。母はまだ68歳。社交的な性格ではないが、読書が好きで読んだ本の内容を事細かによくリカさんに話してくれていた。だがこの半年ほどは読書からも遠ざかっているようだった。

「私も共働きの上、12歳と8歳の子を抱えて毎日が忙しい。以前は子どもたちの世話を母によく見てもらっていたんですが、コロナ禍以降、夫と私がリモートで仕事をするようになり、日程を調整して必ずどちらかが家にいられるようになった。母も自分の好きなことができるからいいと思っていたんですが、もしかしたら張り合いをなくしたのかもしれません」

初期の認知症と言われるが……

病院につれていったところ、やはり初期の認知症だと言われたそう。服薬しながら、なるべく人とコミュニケーションをとり、運動なども取り入れた生活をと言われたが、母は外へ出たがらない。もともと人の間に入るのが苦手なタイプだった。

「だけどそのまま放ってもおけないので、母が興味のありそうな地域のサークルに連れていったりもしたんですが、気乗りがしないみたい……。何かしたいことはないのかと聞いたら『あんたと話せればそれでいい』と。頼られても困るのよと言ったら、急に悲しそうな顔になって。罪悪感が募りました。同時にそんな思いをさせないでよと腹も立って」

放っておくと見捨てているのではないかと胸が痛む。子どもたちに遊びに行ってやってよと言っても、「おばあちゃん、言うことがコロコロ変わるし、急に怒ったりするから嫌だ」と。頑固な性格がエスカレートしているのと同時に、母が「生きる気力」をなくしているようにも見えるという。

>母の面倒をみるつもりはないと決めているケースも
 
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