「一人暮らし」の老後の心配度合いは?
「老後の心配」は、貯蓄が多いかどうかによって、変わるものでしょうか。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」(2023年調査、2024年発表)の「老後の生活についての考え方」のデータより、老後の心配がどれくらい違うかについて比較します。
ぜひ、自分の貯蓄額とあわせて、チェックしてみてください。
※当記事の「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさします。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。
老後の心配は、現役時代の貯蓄次第で変わりそう?
貯蓄が増えるにつれて、老後の心配度が減っている
「老後の生活(高齢者は今後の生活)」において、「それほど心配していない」「心配である(多少心配・非常に心配)」という、心配の度合いについての調査結果を、貯蓄別に抜粋します。●貯蓄100万円未満(金融資産非保有を除く)
それほど心配していない……11.1%
心配である……88.9%
(内訳)
→多少心配……32.9%
→非常に心配……56.0%★
●貯蓄500万~700万円未満
それほど心配していない……21.5%
心配である……78.5%
(内訳)
→多少心配……36.4%
→非常に心配……42.1%★
●貯蓄1000万~1500万円未満
それほど心配していない……26.6%
心配である……73.4%
(内訳)
→多少心配……42.0%
→非常に心配……31.5%★
●貯蓄2000万~3000万円未満
それほど心配していない……37.1%
心配である……62.9%
(内訳)
→多少心配……43.1%
→非常に心配……19.8%★
●貯蓄3000万円以上
それほど心配していない……61.2%
心配である……38.8%
(内訳)
→多少心配……33.2%
→非常に心配……5.6%★
一番上の「それほど心配していない」と答えた人は、貯蓄が増えるにつれて、「11.1%→21.5%→26.6%→37.1%→61.2%」と、どんどん増えていることがわかります。
一方で、上記の★印の「非常に心配」と答えた人は、貯蓄が増えるにつれて「56.0%→42.1%→31.5%→19.8%→5.6%」と、どんどん減っていることがわかります。
「老後の心配度」は、貯蓄額が多ければ多いほど減り、貯蓄額が少なければ少ないほど増えるという具合に、貯蓄と反比例していることがわかります。
「一人暮らし」で将来かかるお金をイメージ
一人暮らしで老後を迎える方は、家族と一緒に住んでいるケースに比べて、お金を使う場面が増えることを念頭におきましょう。特に「住まい」に要注意です。人は必ず、どこかに住むことになりますが、一人暮らしなら、住まいの費用を自分で準備しなくてはなりません。賃貸なら家賃が一生かかりますし、持ち家でも固定資産税や修繕費などが必要です。
また、入院して手術をしたり、介護を受けたりする場合は、ヘルプを遠方に住む家族か友人に頼むか、サービスを利用することになるでしょう。その費用も元気なときには気づきにくいお金です。一人暮らしの場合は、より多めの貯蓄があると安心です。
さらに、受け取る年金が、一人の場合は夫婦などの二人暮らしに比べると少ない点に要注意です。共働き家庭と比べると、世帯収入が半分というケースもあるでしょう。でも、家賃や水道光熱費、食費など、生活にかかるお金は、二人暮らしの完全に半分にはなりません。老後の生活費は、やはり多めに考えておく必要あり!です。
一人暮らしで老後を迎える前に、できることは?
そこでポイントは、今のうちから生活コストをできるだけタイトにしておくことです。スリムな家計なら、収入が減っても安心ですし、自由に使えるお金が増えて貯蓄もできて「ここぞ!」というときに欲しいものを手に入れられるようになり、“今”の楽しみも増えます。さらに、老後にも副収入を得られると理想的です。
老後に月1万円、3万円、5万円など、少しでも収入が得られれば、老後のゆとりが生まれ、生きがいにもつながるでしょう。現役時代の今から、長く続けられそうな副業にトライしてみるのもおすすめです(※会社員の場合は、就業規則に従って検討してください)。
“今”と“老後”の両方を見据えて、お金を上手に配分していきたいですね。