※今回はジャパネットクルーズのチャーターに乗船しました。チャーターだからこそ楽しめたことも多くあり、その点はジャパネットのチャータークルーズ徹底解剖でご紹介します。
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<目次>
魅力1:混雑とは無縁。シアターもレストランも思いのまま
カジュアル船に代表される大型の船は、施設が充実している一方で、乗客数が多く、乗下船や食事、イベントなど、皆が同じ行動をする際はどうしても混雑しがちです。乗船したことがある人の中には、食事時間が決まっているため予定が制限されたり、乗下船の際に長い時間待ったり、あるいはプールデッキのチェアや、イベントの座席がなかなか見つからない(予約がとれない)などの経験をされた方もいるでしょう。 今回乗船したシルバー・ムーンの乗客定員は596名と、同じく日本発着を実施しているカジュアル船・MSCベリッシマ(乗客定員5655名)の10分の1ほど。乗下船もスムーズですし、食事も各レストランの営業時間中は好きな時間に利用でき(一部は予約が必要)、ルームサービスも24時間対応と自由度が高いのが特徴です。きれいな夕日を見られたり、出港のイベントがある夕方は、食事の自由度によって過ごし方が大きく変わります。また、カジュアル船だとショーを観たいと思っても、予約が必要だったり、満席で観られなかったりということがあります。シルバー・ムーンはシアターの座席数にも余裕があるため、開演間際でも座れないことはありませんでした。 特に違っていたのが、終日航海日。カジュアル船は、パブリックスペースが混雑しますが、ラグジュアリー船はもともとスペースに余裕があるだけでなく、全室スイート仕様のため、客室で過ごす方も多いのでしょう。終日航海日でもゆったりした空気が流れ、晴れた気持ちの良い甲板のデッキチェアも数は十分。雨の日も屋内が混み合うことはなく生演奏を聴きながら、お茶や読書をしたりと優雅な時間が流れます。カジュアル船の混雑を知っているだけに「あれ? 今日って終日航海日だよね?」とびっくりするほどです。
魅力2:目が行き届き、チップ込みで純粋に心地よいサービス
1人のスタッフが担当するお客様の数が限られているラグジュアリー船は、目配りが十分に行き届いています。クルーズ代にチップが含まれているため、スタッフにチップを期待してサービスをするというマインドはありません。純粋に「心地よいサービスを」というホスピタリティが随所で感じられ、どのスタッフも本当にいつも笑顔。例えばレストラン。カジュアル船のスタッフは担当するテーブルが多く、とにかく忙しそう。声をかけそびれたり、お料理が出るのに時間がかかってしまうこともあります。食後に普通のコーヒーではなくカプチーノが飲みたいと思っても、「ここにはないので、カフェに行ってください」という対応になることが多いです。
ラグジュアリー船では、グラスが空きそうになれば、次の飲み物のオーダーを聞きにきてくれます。レストランになければ、バーやカフェから要望に応じて運んできてくれます。 シルバー・ムーンを運行する船会社のシルバーシーでは「ノーと言わないサービス」をモットーにしています。例えばシーフード&グリル「アトランティード」では、気に入った料理や食べたいものがあれば、事前に相談をすることで、その日のメニューにないものも用意をしてくれます。
筆者も最終日に、おいしいと評判のフォアグラのロッシーニをお願いしました。ちなみに料金はかかりません。 お部屋のクリーニングもしかり。カジュアル船では順番に清掃をするため、在室時間とクリーニングのタイミングがかぶってしまうこともありますが(※融通は効きます)、ラグジュアリー船では乗客の行動を見て不在のうちにクリーニングを済ませてくれるので、帰ったらいつもきれいな状態で快適です。
カジュアル船では、スタッフ1人が担当する乗客数が多く、効率的に動くことが求められます。また、収入の多くがチップという事情がサービスに影響することも。ラグジュアリー船では、時間・収入ともにスタッフ自身に余裕があることが、お客様へのサービスにつながるのだと感じます。
魅力3:洗練された船内、アメニティも豪華で充実
シルバー・ムーンの客室やパブリックスペースには、花が華やかさを添えていますが、なんと胡蝶蘭はホンモノの鉢植え。船内の調度品も、派手さより質の良さを感じるものが多くありました。 シルバー・ムーンの客室は、全室スイート仕様で36平米からと広々。 バスルームは足をのばしゆっくり入れる大理石のバスタブ、シャワースペースはガラスで仕切られ、手持ちとレインシャワーがあるなど非常に使い勝手が良いのが特徴です。 アメニティも豪華で、基本は「ブルガリ」ですが、他にも香りに特徴がある「オルティージャ」、低刺激の「セバメド」の3つのブランドのものを用意。日替わりでオーダーしてもOKです。タオルもバスロープもふかふかの肌触りで、心地よいバスタイムが過ごせます。ちなみに枕も硬さなど5種類から選べるという驚きのサービスもあります。魅力4:実は結構ハマる! バトラーサービスとは
ラグジュアリー船といえば、バトラーサービス。パンフレットには「レストランの予約や、荷造り・荷解きをお手伝い」とありますが、パッキングを他の人にお願いするのは抵抗があるし、乗船前は「良さがよくわからない」というのが本音でした。実際に乗船して感じたバトラーサービスの一番のメリットは、「何かあればバトラーにいえば解決をしてくれる。窓口が1本で便利」だということ。ルームサービスの利用やレストランの予約、何か困りごとや特別なお願いごとがあったとき、他の船では窓口を探して連絡したり、レセプションの長い列へ並んだり、あるいはどこに言えばいいか分からなくて途方に暮れることがあります。しかし、バトラーがいれば、要望を伝えると関連するセクションと連携して対応をしてくれます。 また「夕日がきれいなので、シャンパンで乾杯したい」「記念日なのでサプライズな演出をしたい」などの特別な要望にも応えてくれます。天気がよければ食事のセッティング&サーブをしてもらい、窓辺やバルコニーで食事をすることも可能です。 バトラーというと、近寄りがたくハードルが高い印象を持っていたのですが、とても親しみやすく、真摯に相談に乗ってくれました。また、例えばクローゼットのハンガーを全て使っていたら追加してくれていたり、就寝時にはテレビをベッドの方に向けてくれていたり、随所にさりげない気配りをしてくれ、乗船前と後ではバトラーの印象が大きく変わりました。 なお外国船なので、バトラーを始め、スタッフとのコミュニケーションは英語になります。時に筆談や翻訳アプリを使いながら、たどたどしい筆者の英語も頑張って聞きとってくれました(船内Wi-Fiが標準装備なのでその点は便利です。ただし動画など容量がいるものは別途有料)。
ジャパネットのチャータークルーズには、「電話で言いたいことを通訳して伝えてくれる」独自のサービスもあったので、込み入った要件の際にも電話一本で解決できて助かりました。 バトラーサービスを使いこなすためにも、チャーター会社、あるいは申し込み先の旅行会社でどこまで日本語対応してくれるかが重要になりそうです。
魅力5:レストランは8つ、毎日どこで何を食べるか迷うほど
カジュアル船・プレミアム船では、コース料理がいただける「メインレストラン」と「ビュッフェレストラン」が無料で、あとは有料のスペシャリティレストランというケースがほとんど。一方シルバー・ムーンには、なんと8つのレストランがあります。しかもチャージが必要なのは2つのみ(フレンチ・日本料理:ディナーのみ有料)。 シーフード&グリルのコース料理、イタリアン、多国籍料理、プールサイドにあるピッツェリアや溶岩焼レストランなど無料で利用できるレストランが豊富で、それぞれ特色があり、朝・昼・夜、それぞれどこで食べようかと迷うほど。 今回は11日間あったので、フリーのレストランは一通り体験ができましたが、毎日「今日はどこにしようかなあ」「まだ、あそこに行っていない」などお腹の具合と相談しながら悩む日々は、今思えばとても幸せな日々。なお、カフェやバーなどにも軽食がありますし、レストランのメニューを部屋でいただくことも可能です。
魅力6:真のオールインクルーシブ! お酒も無料でノンアルのドリンクも豊富
クルーズはオールインクルーシブですが、カジュアル船やプレミアム船の飲み物は、ビュッフェで提供されるソフトドリンク以外は有料となることがほとんど。今回のシルバー・ムーンをはじめ、ラグジュアリー船は、アルコールを含むドリンクがフリーというのも大きな特徴でしょう(一部の高級銘柄は除く)。 レストランやカフェバー、プールサイドなどに座っていると、「何か飲み物をお持ちしましょうか?」と声をかけられます。バーにはウイスキーやカクテル、ワインなどのメニューがあり、バーなどではメニュー以外のオーダーも可能。レストランでは、例えばワインなら「シャンパン、ホワイトワイン、レッドワイン」のどれかを伝えると、おすすめをもってきて「これでいいですか?」と確認をしてサーブをしてくれます。 なお、ノンアルコールの飲み物も豊富で、ノンアルコールのワイン、シャンパン、ビールはもちろん、ノンアルコールカクテルのメニューもあります。お酒は好きなのですが、強くはない筆者は、好みを伝えてオリジナルのノンアルコールカクテルや、アルコール少なめのカクテルを作ってもらい楽しみました。お酒を飲まないと「フリードリンクといわれても……(飲まないし)」と思っていましたが、結構ノンアル派も楽しめます! ちなみにコーヒーはilly。カフェはもちろんレストランのデザートと一緒に、あるいはルームサービスでオーダーも可能。
魅力7:寄港地の選択肢が多く、瀬戸内海やテンダーボートで伊勢志摩も
大きな船は寄港できる港が限られ、何度か日本発着クルーズに乗船をすると、同じ場所に行くことになりがちです。他方、コンパクトな船は寄港できる港が多く、さらにテンダーボート(沖に船を止めて、陸までテンダーボートでピストン輸送)も待ち時間が少なくスムーズなので、バラエティに富んだ寄港地が楽しめます。 今回のクルーズでは「大型船の運航が難しい瀬戸内海クルーズ」や「奄美大島」「伊勢志摩(テンダーボート利用)」などにも寄港しました。寄港地観光を重視される方は、ラグジュアリー船や日本船などを選択するのもいいでしょう。 いかがですか? ラグジュアリー船の魅力は、ハードよりもソフトの比重が大きく、乗船してみないとわからないことも多くありました。自分のしたいことをストレスなく自分のペースでできる……自分をとことん甘やかして過ごす大人の休日、あるいは記念日旅行にはぴったりです。 ただし日本発着を行っているラグジュアリー船の多くは、乗客も海外の人が9割以上で、サービスもインターナショナル仕様。日本語対応など日本人向けのサービスは、チャーターする会社、あるいは申し込みをする窓口(旅行会社)に頼るところが大きいので、しっかりとチェックが必要です。 今回、筆者がラグジュアリー船を楽しめたのは、ジャパネットクルーズのチャーターで、日本人向けのサービスが充実していたことが大きいと感じます。次回は、そんなジャパネットのチャータークルーズだからこそのサービスを紹介します。
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