NISAを始めるべきかは、まずは「状況が整っているか」をチェック
2024年に始まった新NISA。「人気のようだけど、やったほうがいいの……?」と悩んでいませんか? 焦ってNISAを始める前に、考えてほしいことがあります。たとえば、運動習慣がないAさんが「毎日ジョギングをしたほうがいいかな」と思ったとします。
運動することは体にいいですから、普通は「したほうがいい」と思いますよね。
ところが、Aさんはとてつもない運動不足で最近は体重がかなり増加気味。何十年ぶりかのジョギングで無理をして、腰を痛めてしまうかもしれません。また、コンクリートの道路を走り続けられるようなシューズを持っていないかもしれません。
それなら、まずは体重を少し落とすことを意識したり、ウオーキングから始めたり、走りやすいシューズを探したり、といった「ジョギングを始める前段階の準備」が必要ですよね。
果たして自分は今、NISAを始めてもいい状況? まずは確認してみよう
では、投資初心者さんが、「NISAを始めたほうがいいのか」について、チェックしたい3つのことをお伝えします。
1:家計に「ムダな支出」がないか?
「NISAを始めてみたい」という理由は、「お金を増やしたいから」ではないでしょうか。それなら、投資をしてお金を増やす前に、そもそも家計に「ムダな支出」がないかを確認しましょう。
スマホ代で月5000円以上かかっている人なら、キャリアやプランを見直すことで、3000円程度に下げられるかもしれません。また、加入している保険について過不足を確認し、不要なものは見直すことで、支出を下げられるかもしれません。また、外食やテイクアウトが多い人なら、自炊をする回数を少し増やすと、支出が抑えられるでしょう。
そうして、月に1000円、2000円と家計に余裕ができていけば、その分、投資資金として上乗せができます。
2:「貯蓄総額」の確認
「敵を知り己を知れば……」という言葉もありますよね。いえ、特にNISAは敵ではありませんが、NISAという初めてのものにチャレンジする前に、そもそも自分自身のことを知っているでしょうか。どんなにNISAへのやる気に満ちあふれていても、現状の貯蓄が0なら大変です。何かあったときに生活が困窮してしまうからです。
予期せぬことが起きるのが人生ですから、いざというときの「生活防衛資金」として、手取り月収の少なくても3カ月程度、できれば半年程度の預貯金があると安心でしょう。貯蓄がその金額に満たない場合は、預貯金を毎月積み立てていきましょう。
手取り月収が20万円なら、少なくても60万円、できれば120万円のイメージです。
さらに、貯蓄総額がどれだけあるかチェック。以下のような預貯金を含めた「貯蓄総額」も確認しておきましょう。
●預貯金総額
●貯蓄型保険があれば、いま中途解約した場合の返戻金目安
●その他、何か金融商品があれば、現在の価格
3:「マネープラン」の確認
貯蓄総額を確認できたら、今後の「マネープラン」をざっくりと考えてみましょう。この先の1年間、3年以内、5年以内、10年後以降などに、大きなイベントがありそうでしょうか。大きな支出の予定がないかをあわせて考えてみてください。
転職、転勤、結婚や出産、引っ越しなどの可能性はないでしょうか。子どもがいる方は、受験や進学など、大きなお金がかかるイベントはありませんか?
マイホームや車の購入、スマホの買い替え、海外旅行など、大きな買い物や支出の予定はないでしょうか。
今後5年以内くらいに大きなお金が必要な場合は、預貯金で確保していく必要があります。「このお金は、このイベント用」などとざっくりと用途を決めておきましょう。まだ貯まっていなければ、その貯蓄計画も立てていきましょう。
そして、10年程度先に必要なお金であれば、その資金の一部を投資で準備していくのも一案です。
3つをチェックできたら、少額でNISAを始めてみよう
3つをチェックしたことで、NISAなど投資に回せる「余裕資金」があるかどうかが見えてきたのではないでしょうか。2の「生活防衛資金」として手取り月収の半年分の預貯金がない場合や、3の「マネープラン」で今後3年以内くらいに使う預貯金が準備できていない場合は、預貯金を確保するプランを立てて実行していくのと同時に、貯蓄ペースを上げるために月1000円程度の少額でNISAで積み立てをしていくのもよいでしょう。
一方で、余裕資金が100万円、200万円とたくさんある場合でも、いきなり全額を投資にまわすのは危険です。まずは月3000円や5000円、1万円くらいで、NISAの「つみたて投資枠」のラインナップにある投資信託で積み立てて、様子を見ていきましょう。少し慣れてから、投資額を増やしていくことが賢明です。
ちなみに、NISAの仕組みについては、「「NISA」にまつわるよくある勘違い2つ! “NISAは「空き箱」”と考えればOK!?」をご覧ください。NISAのイメージをつかみ、理解したうえでNISAへの第一歩を踏み出していただけたらと思います。