子どもがいるのがエラいのかと言いたくなることも
一方、独身で仕事が大好きなリオさん(37歳)。バツイチ子なし、いくらでも働きますというスタンスで仕事をしていると笑う。「ただ、確かに“子持ち様”の仕事を途中から担当しなければならないときなどは、ちょっと負担が大きいなと感じますね。子どもがいて時短で働いているのに、やたらと仕事を抱え込んでいた同僚がいるんですよ。あるとき上司が、すべて彼女が担当するのは無理と判断、私と別の同僚に仕事が割り振られたんですが、ある程度進んでいた仕事を途中から引き継ぐのが大変でした。だったら、最初からこっちに任せてくれればいいのにと、あのときは陰で『子持ち様は無責任だよね』と同僚と悪口を言いました(笑)」
お互いさまだからと、情でカバーするのは限度がある。子どもが急に熱を出したとか、学校でケガして駆けつけなければならないとか、もちろん子どものいる人には「不測の事態」がついて回る。それはわかっているけど、とリオさんは言う。
「実は私は母とふたり暮らしなんですが、一昨年、母が胃の手術をして退院してきたあと、1日5~6回、小分けにして食事をしなければいけない時期が続いたんです。体力も落ちているし、私も時短にしたいくらいだったけどそうもいかない。残業して帰って、翌日の母の食事を作って、朝も自分と母の分のお弁当を作ってから出社していました。誰にも言えなかったですね、あのときは」
看護や介護は相談すらできないのか?
だからこそ、子どものことなら言い分を聞いてもらえて、看護や介護の場合は誰にも相談すらできないのかとかなり暗い気持ちになったという。「もちろん、企業側が社員の状況に合わせて働き方の要望を聞いてくれないと改善されないのは当然のことですが、まあ、私の場合でいえば、ひがみや妬みもありますね(笑)。
結婚に失敗してバツイチになって子どももいなくて、あとは親の介護がいつ来るかと思っている。先が暗いわけですよ。でも子どもをもっている人は、子どもの成長も楽しみだろうし優遇もされている。その不公平感が、今の時代、どんどん大きくなってきているのかもしれません」
個人間では解決できない不満のタネが、職場には静かにたまり続けているのかもしれない。