ファミリータイプの住居で子どもがいないということは……
子どものいない専業主婦は「何でもしてくれる」存在?
結婚して5年、不妊治療をしながら中古マンションを購入して越してきたトモミさん(40歳)。結婚したときは、すぐにでも子どもができると思っていたし、当時、かなりのブラック企業に勤めていたため、夫の勧めもあって退職した。「結婚して3年経ったところで不妊治療を始めました。不妊の原因は両方にあったのですが、それでもなんとか治療をしようということになって。私がけっこう落ち込んでいたので、夫は『環境を変えるのもいいかも』とこのマンションを購入してくれたんです」
料理が大好きなトモミさんは、治療の合間を縫って料理教室に通ってさらに腕を磨いた。お菓子作りにもはまった。
「同じマンションに同世代の世帯がけっこうあって。でもみんな子持ちなんですよね。私はお菓子を作って、子どもたちにあげたりもしてました。何人かのおかあさんたちからレシピ教えてとか、家で作り方教えてと言われて楽しい時期もあったんです」
ところが子どもを持つ彼女たちから、さまざまな要望が舞い込むようになった。仕事を始めたけど残業になったから、保育園に子どもを迎えに行ってくれないかと言われたときには驚いたという。
子持ち様から「私は暇人だと思われている」
「でもきっと私に頼もうと思っていたんでしょうね。保育園には私の名前をすでに告げてあるから、身分証明書を持って行ってほしいとまで言われて。その日は私も予定があったんですが、『えー、お願い。お礼はするから。あなたしかいないのよ、時間がある人』と言われました。そうか、私は暇人だと思われているんだと初めて知りました」そのときは迎えに行って、彼女が帰宅するまで家で預かった。それを近所のママ友たちが知ったのだろう、いろいろな人から頼まれるようになってしまった。マンション内には夫婦ふたりで暮らす家庭もあった。
「その家の奥さんから、『何でも言うこと聞かないほうがいいわよ。あの人たち、子どもがいない人間には何を頼んでもいいと思ってるんだから』と言われました。ちょっと悪意がありましたね。きっと以前、頼まれごとを引き受けて嫌な思いをしたんでしょう」
ただ、確かに「いいじゃない、子どもがいないんだから」と言われることがその後、増えていくこととなった。
>マンション主催のバザーでは……