無難が最高だと思っている夫
自分のことしか考えない夫の発言には「つまんねえやつだなあ」と思う
「その話を夫にしたら、夫が『巻き込まれなくてよかったね。でも、そこに行くのは考え直したら?』と言ったんです。私、その言葉に違和感があった。私が巻き込まれなくてよかったという発想はなかったから。
それより今後の対策を考えたほうがいいわけだし、実際、ジムは対策をとっているところ。ジムに限らず、どんな場所でも起こりうる事態でしょ。それを自分目線でしか語れない夫に、つまんねえやつだなあと思ってしまったんです(笑)」
子育てにおいても同じようなことが目につくようになってきた。例えば下の子の通学路問題。信号のない道路を渡らなければならず、もちろん保護者が交代で注意を呼びかけてはいるのだが、学校や行政が積極的に対策をとってくれないかとアイカさんは他の保護者とともに活動を続けている。
「だけど夫は、うちの子さえ危ない目にあわなければいいと思ってる。あるとき夫が平日に代休をとって息子を送っていったことがあるんです。夫の帰宅後、『通学路問題、どうしたらいいのかしらね』と話をふったら、『大丈夫だよ。ちゃんと見届けてきたから』と。いや、うちの子だけの問題じゃないでしょと言うと、『あいつさえ事故にあわなければいい』って。
みんなの問題、地域の問題という意識がまったくないんですよね。この人、会社でも自分さえよければいいと思っているのかもしれないと感じました」
自分勝手な心配性
視野を広げてみればすぐにでもわかりそうなことを、夫は気付こうとしない。すべての問題を「自分とわが家」でしか考えていないと、アイカさんは感じている。「大人として親として社会人としてどうなのよ、とつっこみたくなることばかりです。心配性というと繊細な人というイメージがあるけど、夫の場合は利己的であるがゆえの心配性ですからね、単に自分勝手と受け取られてもしかたがない」
子どもたちに父親のそうした考え方が伝播するのが、今のアイカさんの不安だ。やんちゃでもいいけど周りをよく見て考えてから行動すること、危ないと思ったらやめる勇気も大事だからねと伝えている。
子どもの可能性を狭めたくないアイカさんと、無難な人生を送るための土台を作ってほしいと願う夫、どちらが正しいというわけではなく、本人たちの生き方の違いなのかもしれない。