義父の問題発言に戸惑う43歳女性
身近なところにも、問題発言をする男性は多くいるが……
「義両親は、私たちの自宅から電車とバスを乗り継いで1時間くらいのところに住んでいたんですが、介護が必要になった義母が施設に入所して、義父がひとりになってしまった。それで同居を提案しました。義父はもともと穏やかな人で、子どもたちも懐いていたのでうまくいくと思っていたんですが……」
義父は家族が増えたのがうれしかったのか、最初から家の中を仕切ろうとした。自分の息子の自宅に来たのに、「今日からはオレが家長だな」と初日に言ったのにはエリさんも驚いたという。
「これに気を悪くしたのが夫です。今どき、家長ってなんだよと早速、反論。夫曰く、子どもたちの教育にも悪いから、そういう発言はやめてほしいと申し入れた。ところが義父にしてみれば『家で誰がいちばん偉いかを子どもたちにも教えたほうがいい。それが教育というものだ』って。戦後生まれとは思えない発言ですよね。子どもは12歳と10歳だから、そんな妙な色に染められたら困る。私がいちいち『おじいちゃんの言うことを信じちゃダメよ』と言わざるを得ないのがつらいです」
「女の子は愛嬌さえあれば…」と義父
あげく、義父は12歳の長女に向かって「おまえは女として器量が今ひとつだから、いつも笑っていなさい。女の子は愛嬌さえあれば生きていける」と言い含めている。無意識にそういう発言を垂れ流すのだ。エリさんが慌てて、お義父さん、そういう時代じゃないですよ、それは差別ですと言ったら、「これは普遍的なことだ。差別ではない。あんたには人生がわかってない」と怒られてしまったという。無意識ほどたちの悪いものはないとエリさんは憤った。「テレビを見ていても、顔のことばかり言う。かと思うと10歳の息子に、『おまえは今からしっかり勉強しろよ。そうじゃないとお父さんみたいに三流大学しか受からないぞ』ですって。私は夫と同じ大学で知り合ったので、複雑な気持ちです(笑)」
かと思うと、エリさんに「あんたは料理がうまい」と突然言う。夫には弟がいるのだが、弟の妻と義父とは反りが合わない。だから「エリさんは、あの女とは大違い。料理がうまい」というわけだ。
ただ、エリさんは義弟の妻とも仲良くしている。義父の「比べて褒める物言い」がたまらなく嫌なのだそう。
「夫もほとんど諦めているようで、親子の会話はほとんどありません。最近では子どもたちも義父に話しかけなくなって。このままだと義父が孤立してしまうので、どうしたものかと思いますが、毎日のようにああいう差別的な発言を聞かされていたら、こっちが参ってしまいます」
夫は母親と同じ施設に入れたいと考えているようだが、義父自身は元気なのでそれもむずかしい。いっそひとり暮らしのままにしておけばよかった、と夫は連日、ため息をついているという。