3度目の結婚から5年が経って
「考えたら私の結婚生活、5年以上続いたことがない。結婚には不向きなんだろうなと思っていました。仕事があったから被扶養家族になるわけでもないし、別に婚姻制度にとらわれる必要もないと感じましたね。それまではきちんと届を出さなければと思っていたんですが」だから3度目の結婚は軽やかだった。行きつけのバーで知り合って友人関係を続けていた3歳年下の彼と「事実婚」をしたのだ。
「彼は2度目の結婚です。30代で離婚したものの、妻とは同じマンションに住んでひとり息子を育てていたそう。そういう離婚っていいなあと思いました」
彼と事実婚を決めたとき、前妻とその息子とも会い、4人で食事をしたという。先方3人は元家族だが、サキコさんだけは縁もゆかりもない他人だ。それなのに食事会はとても楽しかった。前妻さんの人間性でしょうとサキコさんは言う。
「彼と私が事実婚をするのだから、出しゃばりの元妻なら、『元夫をよろしくお願いします』くらいのことは言いそうじゃないですか。でも彼女はそういうことをまったく言わなかった。ニコニコしながら、さらりと『お幸せにね』って、それだけ。息子を通した親同士という関係を目の前で見せてくれた。私は彼女とすっかり仲良くなって、今はほとんど親友という感じ。前妻さんと親友というのもおもしろいでしょ」
今後「熟年再婚」は増えていく?
そんなオープンな関係だから、3回目の結婚はとても楽だと彼女は言う。今まで超えられなかった5年を過ぎたが、彼とならまだまだ一緒にいられそうだと笑った。「私は前の2回の結婚も、自分の心が壊れる前に離婚に踏み切った。周囲は『もうちょっと我慢したら』と言ったけど、我慢しなくてよかったと思っています。ずいぶん前に、最初の夫とも再会したんですよ。お互いに恨みつらみはないし、今も娘を交えて会うこともあります。嫌だと思ったら即離婚したことが、私の場合はよかったと思っています。それというのも、やはり仕事があったから。誰もがあてはまるわけではないけど、私は仕事を手放さなくてよかったと思っています」
今の夫は、「ちゃんと婚姻届を出すのも悪くないかもよ」と言いだしているそうだ。あと1年、様子を見てやっていけそうなら出してもいいかもねとサキコさんも答えている。
熟年再婚、これからますます増えていくのではないだろうか。