結論から書くと、「株は8割が負ける」という話は、半分が嘘で、半分が本当です。その理由は、「負ける」ことの定義で、勝率がまったく変わってくるからです。
株は8割の人が負けるって本当?
そもそも「株で負ける」とは、どういうことでしょうか。これには、2つの捉え方があります。1つ目の捉え方は「株で負ける=お金を損する」という考え方です。
この視点から言えば、2008年のリーマンショックや1990年の日本株バブル崩壊などの下落相場を除くと、株で8割が負けることは考えにくいです。 たとえば、全世界の株式に連動する上場投資信託(VT)は、2008年以降、一貫して右肩上がりです。アメリカ株の影響も大いに受けているものの、世界中で株価が上がっているのに「8割が負ける」というのは考えにくいです。 また、1990年のバブル崩壊以降、日本株は30年も停滞してきましたが、いまでは史上最高値を更新しています。よほど愚かな取引をしていないかぎり、損をするよりも儲ける確率が高いです。「バブルに浮かれる人が8割損する」という話なら分かりますが、株をやっている人が8割損する……というのは、言い過ぎでしょう。
2つ目の捉え方は「株で負ける=平均以下の成績」という考え方です。
たとえば、投資家全体が「平均10%」儲けているなら、「8%儲けても、平均以下だから負け」ということです。「平均点を取れなければ負け」とい視点から言えば、株で8割が負けるという主張は正しいです。
2022年版「SPIVA U.S. Scorecard」によると、直近20年間のアメリカ国内で運用されている株式ファンド(いわゆるプロの投資家達)の95%は、株式指数(つまり平均点)に負けていたそうです。
おそらく「株は8割が負ける」という話は、この統計が元になっているのでしょう。現実は8割どころではなく、プロですら95%が負けているのですが……。
プロですら平均点を超えられる人は5%しかいないのですから、あまり時間をかけられない個人投資家は平均点を超えられるのはもっと少ないでしょう。
以上をまとめると「バブル崩壊などを除けば多くの人が株式投資で儲けることができるが、平均以上のリターンを出せる人は5%もいない」ということです。
人並みに儲けるくらいなら誰でもできます。しかし、「周りより儲けよう」と思うと、一筋縄ではいきません。「人並みに儲けたい」人からすればグッドニュースだと思いますが、「周りよりも儲けたい」人からすれば、現実はかなり厳しいと言えますね。