子どもと夫、比べるわけではないものの、「子どもは文句を言わないし、何でもきれいに食べてくれる」「夫は日頃の食事には何も言わないくせに、お弁当となると妙に細かな希望を出してくる」など、妻たちからはさまざまなクレームが上がる。
子どものお弁当を作るようになったら
「昨年から、上の子が高校、下の子が私立中学に入り、一気に私のお弁当作り人生が始まりました。私は社食があるんですが、もうこうなったら節約のために自分の分もお弁当にしようと決めたんです。お弁当作りは面倒だけど、子どもたちのためならしかたがない」モモエさん(45歳)は元気な口調でそう言った。今では夕食を作るときにお弁当のことも考えながら料理するようになり、かなり手間は省けているという。高校生の息子も、中学生の娘もスポーツをしているためか、とにかく食べる。栄養や彩りも「一応、考えている」そうだ。自分の分は、ふたりの余り物を弁当箱に入れるだけ。それなりに節約にはなる。
「オレもお弁当がいいなあ」と夫
「ところが今年の初めから、夫が『オレもお弁当がいいなあ』と言いだした。夫の会社は社食が充実しているんですよ。食品関係の会社だからメニューも豊富だし、私はいつも羨ましいと思っていた。でも夫は『さすがに四半世紀近く食べてると、味つけに飽きるんだよね』って。私の味がいいのかななんてちょっとうれしくなって、『じゃあ、持って行く?』と聞いたら、夫もうれしそうに『うん』と」ところが夫の分が増えるとなったら、子どもたちの弁当を作った余りを入れればいいというわけにはいかなくなった。冷凍食品や作り置き惣菜も駆使し、毎日、写真を撮ってなるべく似たメニューが続かないように工夫した。
「5時起きですよ、毎日。その代わり夕飯後の片付けは夫に丸投げしています。子どもたちが毎日、元気に『おいしかった』と言ってくれるのが張り合いでした。夫も最初のうちは『おいしかったよ』と言ってくれましたが、だんだん言わなくなっていった」
それどころか、「この前の煮豆、ちょっと味が甘すぎたかな」と言っても「そんなことないよ」とあやふやな答えが返ってくる。
なんだかおかしい、本当に食べてるのと聞くと、「何言ってんだよ」と夫は気色ばんだ。
>夫の弁当に海苔と佃煮で『アイシテル』と書いてみる