ただ、穏やかでありながら自分の意志をしっかりもつのは意外とむずかしい。
結婚するなら「優しくて穏やか」な女性?
「僕は両親がケンカばかりしている家庭で育ったんです。今になってみると、あれはお互いに言いたいことを言い合えていたんだとわかるけど、ああいう家庭で育ったのは嫌だった。だから結婚するなら優しい女性、穏やかで反論してこない女性がいいと思っていました」マサルさん(39歳)はそう言う。4年前の35歳のとき、仕事で知り合った30歳の女性と結婚した。一粒種の女の子は3歳になった。
「妻のいいところは、本当はそうは思ってなくても、いったん『そうね』と受け止めてくれること。その後、やんわりと『こういう考え方もあるかもね』と別の指針を出してくる。これならケンカにはならないんですよ。妻の寛容さに救われてきたところが多々あります」
結婚して気づいた、妻の不思議な行動
ところが娘を保育園に預けるようになると、妻の不思議な行動が目につくようになった。自分で考えることを放棄しているのかと思うこともあるそうだ。「誰かに言われたことをそのまま信じてしまうんです。たとえば自分が出産で太って、なかなか元に戻らない。保育園のママ友に聞いた、何か一品だけ摂取して痩せる方法に一時期、はまっていましたね。キャベツだけというのを長くやっていて、ついに体調を崩したんです。僕はずっとそういう無謀なダイエットはやめろと言っていた。でも僕の言うことは聞かず、たいして親しくもない知人の言うことはまるごと受け入れてしまう。彼女が体調を崩して入院までしたときは、本当に大変でした」
もうダイエットはしない、きちんと栄養を考えると約束したが、その後は糖質制限にはまっていたこともある。
そして今はリンゴダイエットだ。
「リンゴをすりおろしてせっせと食べている。まあ、他の食材も摂取しているようですが、肉は太るだのチーズは太るだのと言っていますね。別に僕は無理に痩せなくてもいいと思うんですが、『そうなの?』と言いながらダイエットしています」
妻の寛容さは、妻の意志のなさなのではないかとマサルさんは思うようになっている。ダイエットと言いながら、妻は近所でもらったお菓子を平然と食べていることもある。だったらきちんとごはんを食べたほうがいいと諭しても、妻は「そうね」と言うだけだ。
>話し合いたいことは「受け流される」