親代わりの叔母と絶縁するまで
「私の両親は、私が3歳の頃離婚して、それぞれに新しい家庭をもったんです。行き場を亡くした私を養女として育ててくれたのが、母の妹である叔母夫婦でした。ふたりには子どもがいなかったから、最初は大事にしてくれたんだと思う。でも私が小学校に入るころ、夫婦間でケンカが絶えなくなり、中学に入ったときに離婚しました」辛かった子ども時代を振り返ってくれたマユミさん(43歳)。彼女は叔母とふたりで暮らすことになったが、「かなりの貧乏生活」だったという。
友だちの家でクッキーを出されたが手をつけず、「持って帰っていい?」と友だちの母親に聞いたことがある。
「私、このクッキーを夕飯にしたいからと言ったらしいんです。自分では覚えてないんだけど、友人とお母さんは、とても切ない思いをしたそうです。その日、確かおにぎりをもらったと思う」
叔母の再婚相手に性被害を受けた
その友人一家には、それからも気にかけてもらい、マユミさんはなんとか中学を卒業した。叔母はそのころ再婚、一回りも年下の男性がいきなり一緒に暮らすことになった。「性被害を受けました。叔母は気づいていたと思う。でも何も言わなかった。公立の高校に通っていましたが、とにかくお金がなかったのでアルバイトをしたんです。自分の食い扶持くらい稼がないとと思って。叔母は小遣いもくれなかったし、帰るとふたりがいなかったのもしょっちゅうだった。
あるとき叔母に『あんたが彼に色目を使ったんでしょ』と急に言われて殴られました。どうやら再婚した夫が他でも浮気をしていて、挙句、私のこともバラしたようです。あのころ、私の心は死んでいたけど、叔母も別の意味で気持ちが死んでいたんでしょうね」
マユミさんは高校を卒業すると叔母の元を離れて上京した。当時は生みの両親、叔母への憎悪に満ちていたという。
>60代にしては衰えてしまった叔母に会いに……