若い子からも「愛想なさすぎ」と言われ……
同世代からは「いつもぶっきらぼうね」と言われているとセイコさんは笑う。つい最近、若い世代に「セイコさん、愛想なさすぎですよ」と冗談交じりに言われたそうだ。「だってあなたたち、絵文字入れたらおばさん構文だって言うでしょと言ったら、『程度の問題です』という返事でした。『セイコさんはいつも明るくて楽しいから、あの調子で返事が短いんだと私たちはわかるけど、新人の子が怖がってましたよ』ですって。そんなこと言われてもねえ、いったいおばさんはどういう文章を書けば、『いいおばさん』になれるんでしょう」
短文でわかりやすく、なおかつ愛想がないと感じさせない文章と考えると、非常に難しいものに思えてくる。セイコさん自身は、短文3パターンを駆使するだけだと開き直っているが、職場には「気にしてLINEができなくなった仲間もいる」そうだ。
「繊細な人は、こういう文章はどう思われるだろうと気になって返事が遅くなったりするみたいです。そんなこと気にしなくてもいいよと言っても、気にする人は気にする。だから職場連絡に限っては、どういう返事があっても、誰も怒ってないから気にしないことと上司から伝えてもらいました。わかりやすいのが一番ということにしよう、と」
「おばさん構文」による“分断”を避けなければ
そうでもしないと、「おばさん構文」を書いてしまう人と、それを神経質に考えてしまう人とに分断されてしまう。職場でそういうことがあってはいけないとセイコさんは言う。「そしてLINEのやりとりで何か気になることがあったら、実際に顔を見たとき話そう、とも決めたんです。文章だけじゃ誤解が生じる。便利になると不自由になるねと職場のみんなと話しています」
セイコさんはパート仲間の中でも最古参なので、「私が一番ぶっきらぼうです」と新人には必ず伝えるという。LINEがぶっきらぼうでも、怒っているわけではない。そう思ってもらう必要があるのだ。
「それがみんなに浸透するようになってから、おばさん構文だのなんだのと話題になっても、みんな笑いながらオープンに話しています。どうせ私が一番ぶっきらぼうだからね、と私も笑いをとって……。何でも話せる職場がいいですからね」
些細なことを気にして不快な思いをするより、オープンに言い合ったほうがずっと風通しがいい。セイコさんはそれを信じている。