「こどおじ」「こどおば」が煙たがられる理由とは?
おじさん/おばさん世代(30代以上)になっても実家で親と同居している人(独身者)のことを、以前は「パラサイトシングル」と呼んでいました。親を宿主として寄生(パラサイト)する独身者(シングル)という意味です。
最近登場した「こどおじ/こどおば」という呼び方は「こども部屋おじさん(おばさん)」の略。言葉通り、中年になっても実家のこども部屋で暮らす人のことを指すのでしょう。
社会人になったら実家を出なければいけないという決まりはありません。しかしながら「親元から独立してこそ大人」という考え方は、確かに一理あると思います。では「こどおじ/こどおば」になっている人は、大人になっても子どものままなのでしょうか。それとも何らかの理由があって、実家で暮らす生活を選んでいるのでしょうか。
「実家暮らし」勢の言い分を聞いてみた
筆者の周囲にいる実家暮らしをしている独身の男女(いわゆるこどおじ/こどおば)へヒアリングしたところ、実にさまざまな事情が挙げられました。・「(結婚するまで)一人暮らし禁止」を強いられている箱入り娘
・「貯金をする(節約)ため」という合理的事情を抱える派遣女子
・「母親(シングルマザー)が心配だから」という共依存気味な孝行息子
・「いずれ相続する家だから」という名家(?)の御曹司
・「親の介護をしなければならない」役割を担う孝行娘
「実家暮らし」が婚活市場においてマイナスポイントになるかどうかは、お相手(結婚候補)次第。上記の事情を「別に問題ない」と解釈する人もいると思います。
ヒアリングを進めるうちに筆者が気になったのは、何らかの事情があるわけでなく「なんとなく」独立していないケースの「こどおじ/こどおば」も一定数いるということ。いい大人が、子ども時代と変わらず「親の世話になっている」生活を「何の問題もない」と思っていること自体が、子にとっても親にとっても問題だと筆者は感じました。
「こどおじ」「こどおば」は結婚できない?
冒頭でも述べたように、婚活市場において実家暮らしの「こどおじ(こどおば)」は避けられがち。それは実家で「親と一緒に暮らしている」生活への勝手な想像(思い込み)により印象を悪くしているのが原因です。「親と同居=子どもの頃と同じような暮らしぶり」がなぜダメなのかといえば、それは自活できていない(親離れしていない)ように見えるから。
親元から独立していようと、結婚生活における二大要素(家事スキル、経済的自立)を会得しているとは限りません。しかし親元で暮らしている人は、そもそも「自立できていないのでは?」という先入観を抱かれがち。個々の事情に耳を貸す以前に、結婚対象から外されてしまうのです。
「経済的に自立し、家事もやっている。むしろ自分は、親を扶養し介護している立場」――いくら子ども部屋で暮らしていても、上記のように親子関係が変化したケースもあります。親を頼らず、むしろ親に頼られている立派な大人ですが、残念ながらそれも婚活市場ではマイナス要素。なぜなら結婚と同時に「介護」という大きな負担がかかってくると思われてしまうからです。
婚活がうまくいかないのは「実家暮らし」のせいじゃない
どんな事情であろうと、自らの選択により実家暮らしをしていることは事実。その上で「いつかは結婚したい」と望むならば、まずは最低限「自分の家事を親に委ねない」生活をすること。いくら仕事が忙しくても、いい大人が母親に下着まで洗わせていたら、自立しているとはいえません。経済的自立についても同様。家賃がかからない分遊びで浪費してしまうのではなく、生活費としての対価を親に渡すか、預金に回すこと。婚活中ならば、結婚後のライフスタイルのシミュレーションは今のうちからしておきましょう。
親と同居している限り、子ども目線で物事を捉えがちなのは否めません。ベストなのは物理的に実家を出ることですが、独立しないまでも精神的な自立だけは今のうちから意識しておくこと。いつか結婚し親になる生活を頭に描き、今の自分に足りないもの(経済力、家事能力など)を自覚すれば、おのずと今後の目標も見えてくるでしょう。
婚活は、誰と結婚するか考えるだけでなく「結婚できる自分になる」努力も必要です。精神的にも経済的にも自立していれば、実家暮らしもマイナス要素にはならないのです。