Q. 年下の夫ではなく、子どもにお金を残したい。どうすればいい?
パート勤務の55歳女性(マナさん 仮名)。「10歳年下の夫と子連れで再婚しました。子どもはすでに独立しています。私は独身のころから貯蓄をがんばってきて2800万円あります。万一の時には夫ではなく、子どもに資産を残したいです。とはいえ私が先に死んだら、夫が自分の年金でやっていけるのかと不安です。夫の貯蓄額は知りません」とお悩みです。A. 死後の希望があれば、早めに準備が必要
自分の死後について具体的な希望がある場合は、元気なうちに準備をしていく必要があります。マナさんの心配ごとは、大きく分けて「子どもにお金を残せるか」「夫は自分の貯蓄と年金で生活していけるか」の2つですね。
この2つについて、実際の対策を考えていきましょう。
老後の話題は「ねんきん定期便」を使うのがおすすめ
まず、「夫は自分の貯蓄と年金で生活していけるか」についてです。「夫の貯蓄と年金」について、具体的な金額がわからなければ、不安は尽きません。どれくらいの金額があるかを調べる必要があります。
とはいえ、マナさんご夫婦は、お互いの貯蓄額を知らない状態ですよね。いきなり相手に貯蓄額を聞くのは難しいと思いますので、まずは「年金額」からアプローチしていきましょう。
年1回、誕生月に届く「ねんきん定期便」はご自宅にありますか? 夫がねんきん定期便を持っていたら、そちらに掲載されている”二次元コード”をスマホで読み取って、公的年金シミュレーターにアクセスしてみましょう。
公的年金シミュレーターでは、今後も年金保険料を納め続けた場合に、65歳からどれくらいの年金を受け取れるかという目安の金額などがわかります。
夫の将来の年金額を勝手に見るわけにはいきませんので、ぜひ「ねんきん定期便」を持ち寄って、夫婦で一緒に確認してみましょう。
受け取る年金の目安と貯蓄額、生活費を確認しよう
公的年金シミュレーターでは、年金を受け取る時期を、通常の65歳ではなく、60歳に早める場合や、65歳以降、例えば70歳や75歳などに遅らせた場合などのシミュレーションもできます。老後の話をするきっかけにもなりますね。そのうえで、「私は10歳年上だから、私に万一のことがあったら老後はあなたの年金で生活することになるけど、大丈夫そう?」などと聞いてみてもよいでしょう。
今の貯蓄額はどれくらいか、今は年間どれくらい貯めているペースか、というお金の話ができればベストです。
老後の生活費が足りるかどうかは、普段の生活費がどれくらいかかっているかを確認する必要があります。住宅ローンの完済時期にもよりますが、老後に夫だけの生活となった場合に、生活費はどれくらいになりそうでしょうか。
そんなことも考えたうえで、年金と貯蓄で生活していけるかどうかという話につなげられるといいですね。
「これでは足りない」ということであれば、生活費を下げる工夫をしてみたり、収入アップや副収入を考えたりするほか、年金を受け取る時期を遅らせて1年あたりに受け取る年金額を増やすといった手立てもあります。45歳という若いうちからなら、複数の対策を立てることができますね。
相続の希望があれば、専門家にしっかり相談を
次に、現在2800万円の貯蓄があるマナさんの資産を、お子さんに残したいという点です。相続の希望がある場合は、遺言を正しく書くなどの準備をしっかりしておく必要があります。
自分の死後、残された家族が相続でモメることになっては悲しいことです。弁護士、税理士、行政書士などの専門家に相談しながら、財産を整理しながら、間違いのないように遺言を記載する必要があります。
ただし、相続の際には”遺留分”といって、一定の範囲で夫が遺産を受け取る権利が生じます。そのため、マナさんが資産全てを子どもに渡すと遺言書を残しても、難しいこともあるということは頭に入れておきましょう。
早いうちから家族でお金の話をしよう!
マナさんの死後に、夫が「子どもに資産をたくさん渡す? そんな話は聞いていなかった!」と驚いたり、悲しんだり、子どもが「いや、お金は別にいらないよ」「いや、もっとお金がほしい」などといって家族の混乱を招くことは避けたいですよね。そのため、みんなが元気なうちに、お金について家族で話し合えるといいでしょう。
とはいえ、45歳と55歳のご夫婦ですので、今後の人生を考えると、死後の相続問題より前に、老後の年金生活や介護の話など、さまざまな局面があると思います。
いずれの場面でも、お金の問題は出てくるものですから、先ほどの「年金」「貯蓄額」といった身近な話題から、お金の話のきっかけを見つけていきたいですね。
家族で気軽にお金の話ができるようになれば、お金のトラブルを減らすことができて、安心してより豊かな生活を送れると思います!