この本では、人生、家庭、恋愛、健康、勉強、科学、歴史などを「経営」という新しい視点から分析し、個人や社会が豊かになるための解決策が書かれています。
<目次>
夫婦生活を「経営」視点で考えると発見が!
岩尾氏によれば(ちょっと難しい表現ですが……)、経営とは「価値創造(=他者と自分を同時に幸せにすること)という究極の目的に向かい、中間目標と手段の本質・意義・有効性を問い直し、究極の目的の実現を妨げる対立を解消して、豊かな共同体を創り上げること」 だといいます。「経営=価値創造=他者と自分を同時に幸せにすること」と考えると、確かに、夫婦生活を経営として扱うことは自然なことのように感じます。“豊かな共同体”という言葉も、新鮮ではありませんか。
「私たち、レスじゃなくて豊かな二人だよね」と捉えることもできてしまう。
さて岩尾氏による「なぜ妻は夫に怒るのか、『幸福な家庭』と『不幸な家庭』の納得の違い」についての現代新書のコラムでは、夫婦間の様々な問題の根本には「夫が妻に『母の役割』を求めていること」が存在しているとあります。
「妻と夫が母と息子のような関係性になってしまうことは、夫婦仲にとってマイナス」という分析は、夫婦仲相談所を長年主宰してきた筆者の感覚と一致します。
「ママー、パジャマ持ってきてー」
「かあさん、Amazonでこの本、ポチってよ」
など、日常的であるあるな言葉ではありませんか。
「わたし、あなたのママじゃない」
とひっかかってはいるけれど、習慣化して「はいはい」と受け流す妻も数多し。
昭和的「亭主関白」が減り、夫婦の関係性がフラットになってきた近年では、家庭内では生活能力が高い妻が夫に指示を出し、管理したり面倒をみたりするケースも多く、筆者はいい意味で「プロデュース妻」「仕切り妻」と呼んでいます。
これはまさに、母と息子の関係性に近いと思いませんか。
「夫の息子化」を感じさせる妻たちの嘆き8選
実際に、家庭内での夫たちの理解不能な言動を振り返り、「夫が息子化しているからなのだ」と考えれば納得いくことが多々あります。筆者が相談を受けた妻たちの声をいくつかご紹介しましょう。事例1|脱ぎっぱなし夫
「夫は何でも脱ぎっぱなし出しっぱなしで、私に片づけてもらうことを当たり前と思っています」
→はい、子どもは親に世話してもらうのが当たり前だと思っていますから。
事例2|「ありがとう」が言えない夫
「夫に何かしてあげても、お礼も言いません」
→そりゃそうです。とくに小さな子どもは親の行為に対してお礼を言うことは少ないでしょう。
世話してもらうことが多すぎるので、お礼を言い始めたら「ありがと、かあさん」だらけの1日に。
事例3|食事を作らない夫
「食事は妻が作るものだと決めつけ、自分がやろうという気が全くありません」
→子どもの認識では食事作り(調達してくるケースも)は母親の仕事です。
事例4|指示待ち夫
「家の中の掃除も、指示をださなきゃやりません」
→子どもにとって、きれいな状態に家を維持するのは親の仕事です。お小遣い(ご褒美)があると動けます。
事例5|子育て「お手伝いモード」夫
「育児に主体性はなく、『入浴を手伝ったほうがいい?』など常時「お手伝い」モード、もしくは他人事です」
→小さい子(弟や妹)の世話は親の仕事です。子ども自身は、あくまでも親から頼まれたたら「お手伝い」するスタンスでしょう。
事例6|妻の「時間泥棒」夫
「自分の買い物に延々と妻をつき合わせるなど、妻の時間を浪費していることに無頓着です」
→子どもにとって、親は子どもに無償の愛を注ぎ、すべての時間を使ってくれるものだと無意識に信じています。
事例7|「察してちゃん」夫
「たとえ自分が黙っていても、妻は察して気持ちを理解してくれると思っています」
→例外はありますが、親子は過ごしてきたバックグラウンドが一緒で、かつ、価値観も似るので一般的には親子の間は「以心伝心」で伝わりやすいです。一方、夫婦は他人同士の寄り合いです。よって、自分の考えや感情は言語化して伝えないと、相手にはさっぱりわかりません。
事例8|妻だけレス夫
「夫に対して(あるいは妻に対して)性欲がわきません。セックスレスです」
→親子間において性欲がわかないのが一般的生命体です。
いかがでしょうか。「妻が家庭内で夫にイラっとする瞬間」が生まれるのは、「夫と妻」が「息子と母」になっているからではないかと思いませんか。
家庭を「経営」するために必要なこと
では、このような家庭内の不満やトラブルをなくして、夫婦が家庭をうまく「経営」するにはどうすればいいのか。
夫が「息子化している」と感じたならば、まずは自分から「母的な態度」をやめてみる。ズバリ、妻と夫の関係性を「母と息子」ではなく「ビジネスパートナー」に変換するのです。
配偶者に対して、対等な「ビジネスパートナー」として適切な距離感で接すれば、お互いに相手に甘えたり依存することが減少するはずです。また、相手を気遣い、自分の価値観を押し付けず、言葉で丁寧に説明を試みるでしょう。
さらに、自分の「家庭」という組織をよりよく経営する(=他者と自分を同時に幸せにすること)ことに、もっと主体的に関わることができるでしょう。
なお、相手から何かをもらったらお礼や感謝を伝えるのは当然のことです。
最後に、夫から妻への「よくある願望」を
と、ここまで書いて恐縮ですが「妻には、母親みたいなあったかい存在でいてほしい」と願う男性の声もあることを明記しておきます。バッサリ割り切れないのが夫婦生活の醍醐味ということで、ご自分たちの関係性をどこまで変換するかのサジ加減は皆さんにおまかせします。