確固たる信念をもつ人は「かっこいい」と言われるのに、単なる頑固は「老害」なのだ。どこがどう違うのか、どうしたら「周りの人たちの士気を下げることなく」社会の役に立つベテランになれるのだろうか。
ベテラン風を吹かせて、本当は誰からも相手にされていないなんていうことも
アラフィフ女性の職場観察
「私自身、老害と言われる年齢でしょうけど、周りを見ていて感じるところはあります。うちの部署は20代から30代の若手と、50代以上が半々というアンバランスな人員なんです。その中で中間は私だけ。観察しがいがあります(笑)」サトエさん(47歳)はそう言って笑った。みんな大人の社会人なので、表だって若手とベテランが言い争う場面はないが、ベテランの中にひとりだけ誰からも疎まれている男性がいるという。
「54歳のSさん。この人の口癖は『オレが若いときは』なんです。この一言は本当にNGだなと思います。この一言を口から出した瞬間、若手は『今のやり方を受け入れる気がないんだ』と感じるから。紙からデジタルに変わったように、業務内容は進化して当然。いつまでも昔のやり方に固執するのは、単なる昔の人と切り捨てられるだけだから」
「マルハラ」の受け止め方も人それぞれ
仕事のやり方だけではない。人間関係も同じことだ。いわゆる「マルハラ」と言われるようにメッセージのやりとりで句点がついていると「怒っている」と感じる若者が多い今、「そんなの知ったことか」というのは簡単。だが、「そうなんだ」といったん受け止めて、じゃあ、どうすればいいのか、せめて自分は怒っているわけではないと伝えようと「相手側に立つ姿勢」を見せられれば、今後若手とうまくやっていけるきっかけになる。「それは媚びとは違うと思うんです。ちなみにSさんは、マルハラのことを聞いたとき、『知ったことか、昔はスマホなんかなかったんだ、こんなの面倒なだけだな』と切って捨てるように言いました。それはやはり、若手には『この人と一緒に仕事をしたくない』と思わせてしまう。媚びないけど同じ土俵に立つ。今の時代を知る。それができれば、昭和のおじさんももうちょっと受け入れてもらえると思うんですけどね」
自分が生きてきた時代を愛したい気持ちはわかるが、昭和が礼賛される時代とも言い切れない。令和にもおそらくよかったことはある。
>いつでも「今」を感じながら仕事をしていかないと