悩んだ末に、彼女が選んだ別れの言葉
さんざん考えた。今カレが「オレが一緒に行こうか」とも言ってくれたが、自分のことは自分でケリをつけるとアヤカさんは言った。「そして『別れたい』とストレートに言いました。この先、あなたを幸せにできないから、と。すると彼は『アヤカがいてくれるだけで僕は幸せだから、このままでいい』って。そうなったらもう仕方がない。『私が別れたいの。ごめんね、さよなら』と話していたカフェを飛び出しました。彼からは理由を教えろとさんざんメッセージが来ましたが、すべてブロックして」
すると彼は、仲間内に彼女の悪口を流し始めた。さんざん自分を利用した、いろいろ相談にも乗ったし、彼女にはプレゼントもした。なのに一方的に別れたいとだけ言って理由も言ってくれない。そういえばあの女は夜遊びばかりしていた。あちこちで浮気していたに違いないなど、話はどんどんエスカレートしていった。
「ありがたかったのは、仲間内が誰もその言葉に反応しなかったこと。私はグループLINEを脱けましたが、その中のひとりが『何があったか知らないけど、彼はフラれたことが許せないんだと思う。プライドが高いからね』と。そうなんだろうなと思いました。自分からフルことはあってもフラれたことはないみたいだったから」
執念深い元カレからの嫌がらせ
それでも彼は執念深かった。彼女の勤務する会社宛にメールを送ってきたため、彼女は上司から呼ばれた。ふたりとも独身だから特にコンプラに触れることはないけど、男女の問題は面倒だから解決しなさいと言い含められた。「別の親しい上司に詳細を打ち明けて相談しました。上司は『あちらの勤務先にもメールを送ってやろうか』と一緒になって怒ってくれて。ただ、無反応でいるのが一番いいんじゃないかということになり、とにかく私は彼と接触しないと決めました。彼は社内の立場もあるので、それ以上、自分が表面に出て何かをしでかしたりはしないだろうと」
それが的中した。反応しないことで半年ほど経つと彼はおとなしくなり、仲間内によればそのグループも脱けたという。そしてさらに半年後には、彼が結婚したと友人から報せがあった。
「ちょっと驚きましたけどね。お見合いで結婚したようです。あれ以上、エスカレートしなかったからよかったけど、人によってはもっと執着される可能性もありますよね。あのときどういう別れの言葉を言えば彼が納得してくれたのか。今もわかりません」
正直に他に好きな人ができたと言えばよかったのか、だがそれで激昂するタイプの人もいるだろうし……。別れを告げるのは、案外、難しいことなのだ。