男の子礼賛の声にも戸惑う
一方で、やたらと「男のばかり3人。いいわねえ、やっぱり男の子よね」と言われることもあり、マユさんは戸惑うという。「私の実家は遠方の田園地帯。本当に田舎で何もないところなんですが、夏休みなどは息子たちは大はしゃぎです。去年の夏は、息子3人、2週間も実家にいました。私も夫も仕事が休めなかったので、合間に日帰りで代わる代わる様子を見に行っただけ。毎日泥だらけで遊んで、夜は早く寝ていたようです。両親には大変な思いをさせてしまいましたが」
夫婦で息子たちを迎えに行った日、近所の知人が出てきて、「すごいわねえ。男の子3人、将来が楽しみね」と目を輝かせた。それもまた返事に困ったとマユさんは言う。
「まあ、たまたまそういうことになっただけでと曖昧に言っていたら、その人が『うちの嫁は男の子が生めなくて』って。そういう言い方はないですよね。『いいじゃないですか、姉妹ってかわいいし』と言うと、『だって将来はよその家の嫁になるのよ。誰がうちを継ぐの』ですって。知らんがなという話ですよね。その家の“お嫁さん”だって、人の家の娘さんだと意識しているんでしょうかね」
わざわざ不快なことを言う人の目的は?
うちも3人目を生めって言ってるの、でも3人目も女の子だったら絶望的よねと、その人は笑った。「不快でしたね。実家の近所だから母とどういう関係かわからないけど、『子どもが男だろうと女だろうと、かわいいことに変わりありませんよ。姑がそういうこと言うなんて、あなたの言うお嫁さんが気の毒だわ』と言ってしまいました。夫がやめろと目で合図したときはすでに言い終わったあと(笑)。その人は顔色を変えて去っていきました。
そこへ両親が出てきたので、『こんなこと言っちゃった』と言うと、母が気にしなくていいから、あの人はそういう人なのって。母も適当に距離を置いて付き合っているみたいなのでよかった。夫には『あとからお義母さんが何か言われないか心配だ』と言われちゃいましたが、我慢できなかったんですよね」
他人の家族構成、子どもの性別などどうでもいいことなのに、自らの考えを押しつけたり、その結果、息子の妻をおとしめたり……。人はどうして、そういう無用なことをするのだろうとマユさんは苦笑いしながら言った。