夫の年末は挨拶回りに「忙しい」
1年前のことを思い出すと、はらわたが煮えくり返ると言うキミコさん(48歳)。自営業の夫と結婚して16年。ひとり娘は中学2年生になった。「夫は両親が経営する店を継ぎ、私は結婚前から勤めている会社で仕事を続けています。お互いの仕事には口を出さないと結婚したときに決めたので、忙しくても私が店に駆り出されることはありませんでした」
毎年、年末になると夫は世話になった人たちへの挨拶回りと称して、大晦日も出かけることが多かった。コロナ禍になってさすがにそれも減ったのだが、昨年末はまた「挨拶回り」が復活した。
「私も仕事はあったものの、できる限り在宅でと思っていたので、28日を最終の出社日にしました。夫は29日も30日も出かけ、帰宅は夜遅かった。私は娘とふたりで大掃除をしたり買い物に行ったりと忙しくしていました」
大晦日も挨拶まわりで午前様
そして大晦日。今日は家族3人でゆっくりしようと思っていたのだが、午後3時頃、夫は「忘れているところがあった。ちょっと挨拶回りに行ってくる」と出かけた。大晦日に来られたらかえって先方が迷惑なんじゃないのとキミコさんが声をかけると、「いや、年内にどうしても挨拶だけはしておかないと」と夫はにこやかに答えた。「別に不自然なところがあったわけじゃなかったんですよね、そのときは。だけど夫が帰ってきたのは午前0時を回っていたんです」
正直言って、怒っていたわけではなかったとキミコさんは言う。大晦日のテレビ番組を夫と一緒に見なくても娘がいればよかったし、むしろ手がかからなくてありがたいような気持ちにすらなっていた。
「ところが帰ってきた夫の様子がなんだかおかしい。どこがどうとは言えないんだけど、単に外から帰ってきたという感じではなく、なんというのか妙にホッとしたような気配があるというか。もっと端的に言うと、女性の雰囲気を体にまとって帰ってきたんですよ」
リビングで、夫が娘の横に座ると、娘が「おとうさん、なんだか女くさい」と言った。ああ、それだわとキミコさんも合点がいった。
>娘の指摘に、夫が狼狽する