ガイドのクリニック(浜松町第一クリニック)では、20~49歳の男女3,000名を対象に、セックスレスについての実態調査を行いました。以前「男性の”現役”は何歳まで?ED・セックスレスの調査結果と生涯現役のコツ」で20~40代男女の約半数がセックスレスというデータをご紹介しましたが、あらためて「セックスレス」の全体像について詳しく見ていきましょう。
どれくらいセックスがなければ「セックスレス」になる?
セックスレスとは、日本性科学会によると「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが1か月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」(※)と定義されています。今回ガイドのクリニックが行った調査では、この「定義上セックスレス」の割合は男性38.6%、女性は49.3%、全体で44.0%存在することがわかりました。※ セクシャル・コンタクトとは挿入だけではなく口腔性交、ペッティング、ベッドで裸で抱き合うなどの性行為全般のこと
しかし、実際にセックスレスと感じる期間について聞いてみたところ、定義されている「1か月」より長い期間、1ヶ月~3ヶ月セックスがなくなるとセックスレスであると感じる人が約半数いることもわかりました。 男女別で見てみると、3週間以内でもセックスレスと感じる人には男性が多く、半年以上などの長い期間になってセックスレスと感じる割合は女性の方が多いようです。 なお、「セックスレスではない」と本人が感じていても、定義上の「1ヶ月以上性交渉がないカップル」に該当している「隠れセックスレス」は、年齢が高くなるほど多く存在します。
現在セックスレスと感じている割合は女性の方が高い!
「セックスレスと感じる期間」の男女差を見ると、男性がセックスレスと感じていても女性はそうは思っていないケースが多くなると推測できそうです。ところが、実際に自分自身の状況のついて現在セックスレスと感じているかどうかを聞いてみたところ、その推測とは正反対の結果となりました。自身の状況について現在セックスレスであると感じている割合は、男性が「34.5%」、女性が「40.1%」と、女性の方が高いことがわかります。 これとは別に「セックスが好きかどうか」「セックスが重要かどうか」「セックスレスを解消したいと思うか」について聞いた質問では、いずれも男性の方が「好き」「重要」「解消したい」と回答する数が顕著に多く、セックスの頻度について「増やしたい」と回答した人数は圧倒的に男性の方が多いことから、セックスしたい気持ちは男性の方が高いことがわかるのですが、現状についてセックスレスであると感じているのは女性の方が多いのです。
男性側には「セックスが好き、重要、回数を増やしたい」「セックスレスになったら解消したい」という願望がある一方で、その気持ちだけが先走り、行動や結果が伴っていない……結果的に女性にセックスレスと感じさせてしまっている、そんな現実が浮き彫りになってきました。
セックスレスになった理由・きっかけに男女差が
ここで、男女別の「セックスレスになった理由・きっかけ」を見てみましょう。セックスレスになった理由は、男女ともに「育児と家事が忙しくなったから」と回答する割合が最も高いことがわかります。【男性の場合】セックスレスになった理由ベスト6
- 1位:育児と家事が忙しくなったから(25.2%)
- 2位:パートナーがセックスを求めてこないから(18.9%)
- 3位:セックスを求めてもパートナーに断られるから(17.1%)
- 4位:自分またはパートナーの仕事が忙しくなったから(13.9%)
- 5位:お互いにセックスを必要としていないから(11.9%)
- 6位:性欲がなくなったから(11.1%)
【女性の場合】セックスレスになった理由ベスト6
- 1位:育児と家事が忙しくなったから(30.5%)
- 2位:性欲がなくなったから(23.1%)
- 3位:パートナーがセックスを求めてこないから(17.4%)
- 4位:お互いにセックスを必要としていないから(16.3%)
- 5位:パートナーを家族としか見ることができなくなったから(13.4%)
- 6位:自分またはパートナーの仕事が忙しくなったから(10.5%)
女性は「性欲がなくなったから」が2番目に高く、育児と家事が忙しくなってセックスに対する意識が薄れ、結果的に性欲がなくなった人も多いのではないかと考えられます。
一方、男性側の声を見ると、「セックスを求めてもパートナーに断られるから」が上位に入っています。これは男性が質が高いと女性に感じさせるようなセックスをしてこなかったことも理由の一つかもしれません。そういったケースの場合、男性側が挿入と射精を優先的に考えていることが多く、セックスをして当然という価値観を女性に対して押し付けている傾向もあります。セックスレス解消を望むのであれば、まずはこの考え方を改める必要があるでしょう。
■「拒否されてED」も…… ちなみに、パートナーからSEXを断られたことがきっかけで男性がEDを発症してしまうケースもあります。断られたことで男性のプライドが傷つき自信を失ってしまい、さらに「次も拒否されたらどうしよう……」という予期不安が重なり、二重の要因からEDを発症してしまうのです。
もし拒否されたとしても、まずは「今日は疲れているんだな」くらいの軽い気持ちで流すことが、このタイプのEDに陥らないために大切なことです。同時に「今まで自分本位のセックスばかりではなかったか」と胸に手を当ててよく考えてみましょう。
セックスレスを解消したきっかけは?
次に、セックスレス解消のきっかけについても見ていきましょう。「過去にセックスレスを解消したことがあるが、現在セックスレスの人」と、「過去にセックスレスを解消したことがあり、現在もセックスレスではない人」の2パターンで調査・集計しています。
「過去にセックスレスを解消したことがあるが、現在セックスレスの人」の場合、解消したきっかけは「子作りのため」が最多です。セックスレスになったきっかけは「家事と育児が忙しくなったから」が最多で、妊活がきっかけでセックスレスは解消したものの出産後の育児や家事で忙しくなって再度セックスレスになってしまうケースが多いようです。【現在セックスレスで「過去にセックスレスを解消したことがある」】
- 1位:子作りのため(27.3%)
- 2位:セックスレスについてパートナーと話し合ったから(18.8%)
- 3位:子育てが一段落したから(12.4%)
- 4位:パートナーに好きになってもらう努力をしたから(12.1%)
- 5位:パートナーの良き理解者になるよう努めたから(10.9%)
- 6位:デートをする機会を増やしたから(9.4%)
【現在セックスレスではない「過去にセックスレスを解消したことがある」】
- 1位:セックスレスについてパートナーと話し合ったから(23.1%)
- 2位:子育てが一段落したから(18.3%)
- 3位:パートナーの良き理解者になるよう努めたから(16.5%)
- 3位:子作りのため(16.5%)
- 5位:デートをする機会を増やしたから(10.8%)
- 6位:パートナーに好きになってもらう努力をしたから(10.3%)
「過去にセックスレスを解消したことがあり、現在セックスレスではない人」の場合、現在セックスレスの人と同様にセックスレスになったきっかけは「家事と育児が忙しくなったから」と回答する割合が最多ですが、解消したきっかけは「パートナーと話し合ったから」が最多、次に「子育てが一段落したから」「パートナーの良き理解者になるよう努めたから」となっています。セックスレスの解消には、「女性の心に男性が寄り添うこと」が必要であることがよくわかるのではないでしょうか。
セックスは好き?嫌い?セックスをする目的は?
ここで視点を変えて、そもそもセックスをするのが好きか嫌いか、そしてセックスの目的にはどんなものがあるのかについても見ていきましょう。男性は「好き」が95%、「重要」が89%、女性は「好き」が68%、「重要」が64%という結果に。さらに年代別で見てみると男女ともに年齢を重ねるごとに「嫌い」及び「重要ではない」と答える人が増えていますが、特に女性の方がその傾向が顕著なようです。
次に、性別/年代別でセックスをする目的を聞いてみました。 女性の場合「愛情確認」という回答が各年代で圧倒的1位ですが、男性の場合30代で「性的な快楽」が「愛情確認」を逆転し、40代になるとさらに「愛情確認」との差が開いています。また「性的な快楽」と答えた人の割合は、女性の場合、全世代で24.0%~24.8%と年齢による変化は見られませんが、男性の場合、20代は37.4%、30代は44.6%、40代は53.8%と年を重ねるごとにその割合が増加していて、年を重ねるごとに男性は性的快楽優位なセックスとなる傾向が顕著に表れています。
一方で、「義務だから」という回答は、男性が年とともに減少する一方、女性は増加しています。また、「特に目的はない」と答えた割合は女性の方が顕著に増加していて、女性は年齢を重ねるにつれてセックスの目的を見失っているといえるかもしれません。
さらに「セックスレスの経験別」でセックスの目的を集計したところ、現在セックスレスではない人は「愛情確認」をセックスの目的と回答する割合が多く、「現在セックスレスで今まで一度もセックスレスを解消したことがない人」のみ「性的な快楽」の割合が「愛情確認」を上回りました。
セックスレスを解消したいと考えている男性は、女性がセックスで大事にしていることは愛情確認であることを肝に銘じ、自身の性的快楽のみを優先するのではなく、お互いの愛情確認を優先することが必要だといえそうです。
セックスレスが問題になるのはどんな時?
しかし実際には2週間セックスがないだけでセックスレスだと感じる人もいれば、3か月に1回あれば満足というカップルもいます。一概に「1か月以上性交渉がない=セックスレス」と定義付けて問題提起するのではなく、あくまで期間は目安として参考程度に考え、それぞれの状況に向き合っていかなくてはいけないといえるでしょう。
今回は、セックスレスに関する意識と実態についての調査をもとに、セックスレスについての基本的な話題をご紹介しました。次回はさらに踏み込んで、「セックスレスは浮気のリスクになるのか」「セックスレスは離婚のリスクになるのか」といった調査結果をご紹介していきます。
【関連記事】■調査概要
・集計期間:2023年6月19日~23日
・調査方法:インターネット集計
・調査対象:既婚もしくは事実婚で現在、異性のパートナーと同居中の20~49歳の男女3,000名
※20~49歳(10歳階級別) 男女 3,000人の内訳は以下の通り
「20~29歳 男性:500人」「20~29歳 女性:500人」
「30~39歳 男性:500人」「30~39歳 女性:500人」
「40~49歳 男性:500人」「40~49歳 女性:500人」
・早漏は何分から?理想的な性行為の頻度は?男女の「ホンネ」調査から見えたもの
・男性の”現役”は何歳まで?ED・セックスレスの調査結果と生涯現役のコツ
※参考:
・セックスレスになった原因と解消方法を調査(浜松町第一クリニック)
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/sexless_survey_2023/eliminate_sexlessness.html
・セックスレスに関する意識と実態調査2023
https://www.hama1-cl.jp/internet_research/sexless_survey_2023/
・スローセックス(セックスの工夫)(浜松町第一クリニック)
https://www.hama1-cl.jp/about_ed/slowsex.html
・マンガでわかるEDの様々な要因「拒否されてED」
https://www.hama1-cl.jp/about_ed/comic_ed/failure17.html