別れてからも外で会った娘を送ってくるついでに家に上がり込む元夫
自分が妻子を捨てたと思い込んでいる夫
「元夫は感情が豊かというか過剰というか。確かに夫に好きな人ができて離婚したんですが、実は私のほうも離婚のタイミングを探っていたところがあるんです。だから夫に好きな人ができてと涙ながらに白状されたときは、ショックだと言いつつちょっとホッとしたところもあった。夫には言えませんが(笑)」リナさん(44歳)は、離婚した2年前を振り返る。夫は自分が悪いのだからと、当時11歳だった娘の学費を始め、家のローンも支払うし、結婚後の貯金もほとんどリナさんと娘に渡してくれた。
「離婚届にサインし、泣きながら娘の手をとって『ごめんね、ごめんね』と繰り返す彼に、娘は『もういいよ。パパは一生、パパではあるんだし』とませたことを言いました。それでさらに彼は号泣。私は内心、さっさと出て行ってちょうだいと思っていました」
その後も、ときどき娘に会っていた夫は、娘を送ってきては家に上がり込んでいく。やっぱりリナの料理はうまいなあとか、この家に戻るとホッとするなあとか言いながら、なかなか帰ろうとしないのだ。
「夫は不倫相手と一緒に住んでいたんですが、相手の両親に結婚を反対されているらしく、つらいよと愚痴をこぼすこともありました。そんなの知ったこっちゃないですよね。どうやら相手はけっこういい家のお嬢さんのようで、どうしても結婚するなら勘当だと言われて彼女も気持ちが離れていきかけているみたいだった」
「捨てた」母娘の前で愚痴を垂れ流す元夫
ただ、リナさんとしてはずっとそうやって「自分勝手な感情を垂れ流す元夫」にうんざりしていた。結婚しているときもそうだったのだ。いつも自分の感情を優先させていた。「つい最近、また元夫が愚痴っていると、娘が『そうやってぐずぐず言ってないで、はっきり態度を決めたら?』と言ったんです。『ごめん。オレがきみたちを捨てて家を出たのに、生き方を決められないのは恥ずかしい』と夫。娘と私は、『は?』と夫を見ました。捨てられたなんていう意識はまったくなかったから」
娘は父親に、「捨てたの捨てられたのって、私たちはゴミじゃないんだから、そんな発言はやめてくれないかな」と強烈な一言を浴びせた。「お父さんとお母さんは、性格的に合わないから離婚しただけでしょ。それだけのことをおおげさに言わないでよ」とさらに娘は続けた。
「夫はシュンとしてましたね。私も娘は正しいと思う。今どき、捨てたの捨てられたのという言い方はやめてほしかった」
夫は今もときどき、元自宅にやってくるが、愚痴は少しだけ減ったようだ。
>自分に非があるのに、しつこい夫