「お金持ちと孤独には関係がありますか。友達やグループに所属していなくても、お金持ちになれるのでしょうか?」
今回は、この質問にお答えしていきます。
お金持ちと孤独の関係
アメリカとカナダの大学による研究、Journal of Personality and Social Psychologyに公開された論文(1)では、「協調性が高くなるほど、収入が低くなりやすい」傾向があるそうです。協調とは「周りと協力してうまくやること」ですが、周りとうまくやれる人ほど収入が少ないというのは意外な結果でした。
なお、前もってお伝えしておくと、この傾向が「日本人にも当てはまるか?」というと、そうとは限りません。欧米と比べると日本では協調性が特に重視されますから、お国柄的に協調性が高いほうが高収入になりやすい可能性もあります。
とはいえ、欧米での研究結果は「お金持ちと孤独の関係」をひも解く手がかりになりそうです。
協調性が高いほど、足を引っ張られやすい?
協調性が高い人の収入が低い原因のひとつとしては、「協調性が高いほど、周りの人から足を引っ張られやすい」という可能性が考えられます。どうでもいい「お付き合い」で時間やお金を浪費してしまって、自分の時間を取れない、もしくは、自分のためにお金を使えない……という方が、多いんじゃないでしょうか。
このような「なれ合い」は、お金持ちになりたい人にとっては障害になりそうです。収入を増やすための勉強や、貯金をしたいのに「飲み会のお誘いが断れなくて……」と、足を引っ張られてしまいそうです。
お金持ちは、孤独じゃないとダメ?
「つまり、お金持ちになりたいなら友達を捨てろってこと?」と感じた方もいるかもしれません。たしかに、浪費癖が強い友達や家族が多い人は、これが障害になって、お金持ちになれる可能性は下がりそうです。ときには、犠牲も出てくるかもしれません。かくいう筆者は、貯金したいがために友人からの誘いを断りまくったせいで、「学生時代の友人がほとんどいない」という黒歴史があります。30歳そこらでそれなりの資産は蓄えられたものの、失ったものもそれなりにあります。
とはいえ「すべての友人関係が悪か?」というと、そういうワケでもありません。
「お金持ちと交友している人は、お金持ちになりやすい!」という研究(2)もあります。自分の夢を叶えてくれそうな前向きな交友関係を持つことで、むしろお金持ちになれる可能性を高めることもできるはず。
月並みな結論ではありますが、「自分の足を引っ張るような人間と、無理して付き合っても損をするだけだ」ということでしょうね。
●参考文献
(1)論文:Timothy A. Judge, Beth A. Livingston, and Charlice Hurst, 2011, "Do Nice Guys-and Gals-Really Finish Last? The Joint Effects of Sex and Agreeableness on Income", Journal of Personality and Social Psychology, 102(2), pp. 390-407
(2)論文:Chetty, R., Jackson, M.O., Kuchler, T. et al. Social capital II: determinants of economic connectedness. Nature 608, 122–134 (2022).