とにかくロマンチックなことがしたいのは男性のほう
「夜景が見たいよね」と部長に誘われて
他部署の部長と2年にわたって付き合っていたナミさん(36歳)は、昨年の12月に「クリスマスにきみと一緒に夜景が見たい」と言われた。部長は一回り年上だ。「前回のクリスマスは彼が出張だったので、一緒に迎えるのは初めてだったんです」
ところがナミさんは、恋人同士によくあるクリスマスや誕生日などのイベントにほとんど興味がなかった。不倫関係ならなおさらだという思いもあった。
「女性は夜景が好きと思い込んでいたようで、私に気を遣ってくれたみたいですが、私は夜景なんてそれほど興味がないし(笑)、わざわざ人混みにまぎれて行くような関係でもないと思ったんです。でもせっかくそう言ってくれているので、一応賛同していたら、『イブにイルミネーションを見に行こう』と混むことで有名な地名を挙げられて……」
内心「バカなの?」と感じた出来事
冷静なナミさんは、そんなところに行ったらきっと私たちの関係がバレますよ、職場の人もいるかもしれないしと言ってみた。すると部長は「きみと見たいんだよ」と駄々っ子のように唇を尖らせた。「黙って高級ホテルのスイートでもとって夜景を見せてくれよと思いましたが、うちみたいな中小企業の部長にそんな経済力があるわけではないとわかっている。だからそれとなく『高いタワーとかのほうが知り合いに会わないかもしれませんね』と言ったら、そうか、わかったとうれしそうな返事。
結局、知人の住むタワマンから見せてもらうことにしたとメッセージがありました。その知人とは家族ぐるみの付き合いだというから、内心『バカなの?』と思ったんですが(笑)。それも阻止して、実はそのまま距離を置き、今年に入ってから別れました」
彼の言動は単に“恋に酔ってるだけ”
不倫とはいえ恋している女性と一緒にクリスマスイブに夜景を見る。それは彼自身の夢だったのではないだろうかとナミさんは思った。そこにあるのは「この人は恋に酔っているだけで、相手は別に私でなくてもいいのではないか」「女性は恋したらイルミネーションを見たがるものだと決めているだけではないか」という疑問だった。「それに不倫に対する危機管理意識がなさすぎ。彼と付き合っていたら、こっちも社内で仕事がしにくくなりそうだと感じました。大人の恋ができるかと思ったら、意外なところで彼の本性が見えた気がして……」
今どき、女性のほうがずっと冷静なのかもしれない。
>手に負えないロマンチックさ