<目次>
「ギバー」と「テイカー」
「ギバー(Giver)」とは、自分を犠牲にしてでも相手に惜しみなく与える人、「テイカー(Taker)」はまずは自分が受け取ることを優先させる人。人間関係、恋愛関係にもいつのまにかこうした「ギバーとテイカー」という役割が生まれやすい。「ついつい尽くしてしまう」という人はギバーなのかもしれないが、中にはテイクする目的のためにギブする人もいる。本来のギバーは見返りを求めない。
単なる“ちゃっかり”と違う「テイカー気質」の同僚
テイカーは、たとえば仕事上でも楽して得を取りたいと思いがち。そんなテイカー気質の同僚に悩まされたことがあるというのは、エリカさん(34歳)だ。「同じ時期に同じ部署に配属されたカナは、デートがあるといっては私に仕事を押しつけ、面倒なことがあると『エリカは優秀だからお願い』と甘えてくるタイプ。単にちゃっかりしているといえばそうなんだけど、なんだか私は彼女から不穏なものを感じていたんです」
あるときエリカさんはカナさんから押しつけられた仕事をしたのだが、それがどうやらカナさんのミスで上司から受けた指示がエリカさんにうまく伝わっていなかった。そのため、その仕事はミスとしか言えないような結果になってしまった。
テイカー女は保身目的で攻撃してきた
「もちろん代理で仕事をしてミスったのは私の責任なんですが、上司はカナに『僕はあなたに頼んだよね』と非難したんです。するとカナは『私はエリカに頼んでいません。彼女が私の仕事を奪ったんです』と言い訳した。なんだそれって感じですよ。自分がさんざん頼んでおいて、うまくいかなかったら私を攻撃してくる。どことなく感じていた不穏なものの正体を見たような気がしました」テイカー女は自己中心的で支配的だった
自己中心的で、自分が得になるなら権力者にはすり寄っていくが、そうではない人に対しては支配的だったり押しつけがましかったりするのがテイカーの特徴。「そういえば過去にも、『私は前職でいろいろ経験したけど、あなたはまだ仕事の経験自体が不足しているから、これ、やっておいたほうがいいよ』と仕事を押しつけてきたことがありました。自分がやりたくないだけなのに。その仕事がうまくいったときは、あたかも自分のアドバイスがよかったからだと触れ回るところもありましたね」
エリカさんは一時期、完全にカナさんの「子分」と周囲から見られていたこともあったという。ふたりで組むよう上司に命じられた仕事のときは、実際にはほとんどエリカさんがやったのに、評判がよかったため、いつの間にかカナさんが自分の手柄に仕立てあげていた。
テイカー女の本性は周囲にバレていた
「アシスタントとしては使えたと、私のことを言っていたようです。私はもう、彼女がそうしたいならそれでもいいと思っていた。でもこのときは、私が日々がんばっているのを先輩や上司が見ていました。それでカナは上司に呼ばれて相当絞られたみたいです。戻ってくると私に『あなたが言いつけたんでしょ』と怒っていた。先輩に『いいかげんにしろよ、人は見てないようで見ているんだよ』と言われると、急にしょげてしまって。それを見ると、なんだかかわいそうになって、私が彼女を庇うしかなくなる。そうやって人をつなぎとめるのもうまかった」
だが次第にカナさんは周囲の人から距離をとられるようになり、自己中心的だという噂も大きくなっていった。
テイカー女はプライドが高く女王気質
「それでも、プライドが高くて女王様タイプの彼女にひれ伏す男はいるんですよ。結局、彼女は異動してきた10歳年上の先輩と不倫関係になり、それが会社にバレてふたりとも会社を辞めていきました。彼のほうは妻の元に戻ったけど、カナは相当嫌がらせもしたみたい」今になると、エリカさんはカナさんをうまく誘導して、テイカーではなくギバーに変えることができたかもしれないと感じているそうだ。
「誰でもいいところも悪いところもありますからね。もしかしたら私たちが彼女の悪いところを助長させてしまったのかもしれないと思うことがあります」
つい自分より人のことを先に考えるエリカさん。これが彼女がギバーたるゆえんではないだろうか。