暮らしの法律

隣人がうるさくて眠れない!もう我慢の限界なんですが「騒音トラブル」にはどう対処したらいいですか?

【弁護士が解説】All About編集部のアンケート調査に寄せられた「近隣トラブル」のお悩みついて、対処法や注意点をAll About 暮らしの法律ガイドの鬼沢健士が解説します。今回の相談内容は隣人の騒音について。

鬼沢 健士

執筆者:鬼沢 健士

暮らしの法律ガイド

隣人がうるさくて眠れません!

平穏無事に過ごすためにも「近隣トラブル」は避けたいところ

何ごともなく静かにおだやかに過ごしたい……だからこそ「近隣トラブル」は避けたいところ。しかし、近隣関係の相談件数は年々増加しており、隣人トラブルをきっかけとする事件は後を絶ちません。SNSではいわゆる“隣人ガチャ”に外れた人たちの悲痛な叫びも投稿されています。

All About編集部は全国のユーザーに「近隣トラブル」に関するアンケート調査を実施(※)。投稿者から寄せられたお悩みに対して、弁護士でAll About 暮らしの法律ガイドの鬼沢健士が回答します。
 

隣人がうるさくて眠れません

【ユーザーのお悩み】
隣人が深夜0時を過ぎても音楽を大音量でかけていて重低音が響いて眠れません。もう何度もあり、今も続いています。直接注意しに行きたいのですが、注意したら嫌がらせを受けそうで怖いなと思い何もしていません。騒音は法律的に問題はないのでしょうか。また、どのように対処したらいいのでしょうか(30代女性/神奈川県)。
 

「受忍限度」がポイントですが……

【回答】
騒音に関する法律には「騒音規制法」があります。もっとも、この法律は工場や事業場、建設工事に伴って生じる騒音を規制するものであり、隣人関係の騒音に関する法律ではありません。その他、騒音に関して明確に定めた法律はありません。

また、騒音を規制する条例は存在しますが、騒音規制法と同様に営業活動に関するものであり、“生活騒音”を直接的に規制するものはありません。

そうはいっても、生活騒音をどれだけ出してもいいわけではありません。生活騒音によるトラブルに関する裁判では、よく「受忍限度(社会生活を送る上で、一般人が我慢できるとされる程度)」を超える騒音であるか否かで判断されます。受忍限度を超える騒音であれば、損害賠償責任が発生します。

ただ、この受忍限度というものも、はっきりとした基準ではありません。音の大きさだけでなく、時間帯や音の出し方、回避可能性などさまざまな事情を考慮して決めています。

裁判例の中には50dB前後を基準とする傾向がありますが、音の発生する時間帯や音が発生する時間の長短などの事情も考慮しますので、明確に50dB以上ならダメとか50dB未満なら大丈夫というものではないのです。
 

騒音被害に遭った場合の対処法をお伝えします

まずは“穏当に”隣人へ話をしてみましょう。音を出している側は、大きな音を出している自覚がないこともあります(音を聞かされている側が、音が大きいと思い込んでいるケースも多いです)。また、防音材を使用する、時間帯に配慮してもらうことで回避できることもあります。

ただし、相手の怒りを買ったり嫌がらせを受けたりするのが心配なときは、無理をする必要はありません。近隣住民や地域内で話し合ったり、市区町村に相談したり、集合住宅であれば、管理人を通じて話をするのもいいでしょう。

他にも、騒音を出すだけで犯罪にあたるわけではないので必ず対処してもらえるわけではありませんが、警察に通報し、注意してもらうという方法も考えられます。

これらの手段を講じても解決の見込みがない場合には、訴訟等の法的な手段をとることになります。裁判では証拠が必要ですから、まずは騒音の大きさを計測し、その時間帯や長さと合わせて記録をとるようにしてください。

参考
警察庁 令和4年における相談取扱状況について
※All About編集部が全国176人にアンケート。調査期間は2023年11月14日~11月20日
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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