実際にそういう経験をした女性が、当時の思いを語ってくれた。
32歳の出会い……彼は不動産関係?
「私が結婚したのは有名人ではありません。ただ、一部の業界内では知られた存在だったかもしれない。私は彼の立場を知らず、バーで知り合って交際が始まっただけなんです」サトエさん(37歳)はそう言う。同い年の彼と知り合ったのは32歳のときだった。それぞれ同性の友人と一緒に来ていてカウンターで隣り合わせ、話が盛り上がったのでテーブルに移動した。
「ふたりとも会社員だと言っていました。私と友人は同僚同士。話の雰囲気から不動産関係だとわかりました。私たちは家電関係なので、近くはないけど遠すぎるわけでもないみたいな話をしたのを覚えています」
サトエさんが彼の話に前のめりになったのは、彼が学生時代、映画研究会に属していたと聞いてから。彼女も別の大学の映研にいたこと、映画の趣味が合ったことから急速に親近感を抱いた。
「彼のほうもそうだったみたい。映画の話に夢中になっているうちに友人たちは帰ってしまったんですが、私たちは終電がなくなるのにも気づかず話し続けていた」
「いつか豪華な結婚式をしたい」と彼は言った
週末で翌日が休みだったため、ふたりはそのままカラオケボックスに移動、始発が出るまで歌ったりしゃべったりした。「別れ際に彼が、『また会えるかな』と言ったので連絡先を交換しました。帰宅して一眠りしたら彼から連絡があって『今夜も会いたい。食事しよう』と。夕方出ていって、その日は食事をして彼の家で、レアなDVDを見せてもらいました」
そのまま彼の家に泊まってしまったのだが、男女の関係にはならなかった。彼とは友だち以上にはならないんだろうなとサトエさんも感じた。だが朝になって帰ろうとすると、彼が「結婚を前提に付き合ってほしい」と言い出した。「こんなに気が合う女性がいるとは思わなかった」とも。
「まったく同じことを思っていたんだとうれしくなりました。彼は『実家が複雑な状況で、結婚式はまだできないんだけど、いつか豪華な結婚式をしたい』と言っていました。結婚式なんてしなくてもいいと伝えると、彼は『大事にするから』って」
その日から半同棲が始まり、1カ月後には一緒に住んでいた。まるで何年も付き合っていたかのように生活はスムーズだった。できるほうが食事を作り、お互いの味覚が似ていることもわかった。
>秘密主義? 彼の行動がおかしい