貯蓄

「貯金の燃え尽き症候群」を乗り越えるには?

先日、こんな質問をいただきました。「お金を貯めるのが趣味です。目標額を達成したのですが、正直、燃え尽きてしまいました。このままでよいのか不安です」今回は、この質問にお答えします。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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先日、こんな質問をいただきました。

「お金を貯めるのが趣味でたくさんお金を貯めました。目標額を達成したのはよいのですが、正直、燃え尽きてしまいました。このままでよいのか不安です。モチベーションを維持するために、中原さんならどうしますか?」

今回は、この質問にお答えします。

貯金目標額を達成した後に『このままでいいのか?』と不安に

今日は、「お金を貯められたのはいいけれど、一定のラインを超えたら燃え尽きてしまった!」というご相談にお答えします。

実は、いただいた相談は筆者にとっても「分かる~」と共感しました。筆者も貯金は多いほうなのですが、1000万円→2000万円→5000万円……と、貯金額が節目を迎えるたびに「なんで、こんなに貯金してるんだろう?」と、冷めてしまう時期があります。

これは言わば「貯金の燃え尽き症候群」とも言えます。そもそも、どうして燃え尽きてしまうのでしょうか?

筆者の場合、「こんだけ貯まったから、そろそろ使ってもいいんじゃないかな?」と、サイフのヒモが緩んでいた時期もありました。

筆者には「貯金をこうやって使うぞ!」というモチベーションがありませんでした。「お金がないより、あったほうがよい」くらいの気持ちで貯金を始めたので、お金が貯まってもモチベーションが上がらず、むしろお金が貯まれば貯まるほど危機感が薄れてモチベーションが下がってしまったのです。

貯金のモチベーションが低下するほかにも「お金が貯まったことで、本業よりも金融所得のほうが多くなってしまい、仕事のやりがいが薄れてしまった」ことがありました。

これはお金持ちだったら誰もが通る道のようで、筆者の周りにいるお金持ちたちも、1度は経験していました。働きながら資産運用をしていると、「普通に働いても年収は◯百万円だけれど、それと同じくらいの金額が1カ月で増えたり減ったりする」ことは日常茶飯事です。

「将来が不安だから貯金を始めたのに、貯金が増えてきたらかえって貯金や仕事へのモチベーションが下がって『このままでいいのか?』と不安が増えてしまった」ワケです。本末転倒ですね。

貯金の燃え尽き症候群を乗り越えるには?

さいわい、筆者は「貯金の燃え尽き症候群」を乗り越えることができました。いまでも停滞する時期はしばしばありますが、おおむね高いモチベーションを維持できています。燃え尽き症候群を乗り越えられたきっかけは2つありました。

燃え尽き症候群を乗り越えた1つ目のきっかけは「家庭環境の変化」でした。

筆者の場合、独身のときに1000万円近く貯金しており、それで燃え尽きてしまった時期がありました。「独身貴族」という言葉もあるように、独身の頃は気楽なモンで、バブリーに散財してしまったこともあります。

しかし、妻との結婚や、娘が生まれたことで、節約意識がふたたび強まりました。

結婚してからは「自分が散財すれば、妻へ遺せる遺産が減る」、娘が生まれてからは「自分が散財すれば、娘に使える養育費が減る」というように、お金に対する見方が変わったのです。

「環境の変化」がモチベーションアップにつながることはよくあります。今後は、「両親の老後を支えるため」とか「定年した両親へ仕送りしたい」とか、家庭環境の変化とともに、新たなモチベーションが生まれる気もします。

燃え尽き症候群を乗り越えた2つ目のきっかけは「目標の立て方を変えたこと」でした。

筆者の経験上、「貯金の燃え尽き症候群」は、静的な目標が原因だと感じています。「静的」というのは、「固定された」もので、たとえば「貯金を1000万円する!」みたいな目標です。

静的な目標は分かりやすいのですが、達成と同時に燃え尽きがちです。

そこで筆者は、貯金の目標をもっと「動的」なものに変えました。たとえば「今年は、去年よりも多く貯金する!」とか「今年は、去年よりも金融所得を増やす!」みたいに、毎年、目標が動いていく感じです。

具体的な話としては、筆者は「いま持っている貯金に対して、年率12%以上のペースで貯金額を増やす」ことを目指しています。今年の貯金額が1000万円なら120万円以上、3000万円なら360万円です。この目標は、毎年すこしずつ上がっています。

毎年上がっていくハードルを乗り越えるのはカンタンではありません。かといって、不可能でもありません。目標を動的なものに変えてから、貯金がよりスリリングになりました。

「惰性ではクリアできない」のと同時に、「創意工夫すればクリアは可能に見える」という、絶妙な目標を設定するようになってから、かえって昔よりも貯金が楽しくなりました。

達成できたときには「今年の自分は、去年の自分を超えられた!」という達成感や前進感があるため、それがよかったのかもしれません。

まとめ

要点をまとめると、お金の燃え尽き症候群は、

◯時間とともに環境が変われば、自然と乗り越えられる
◯目標の立て方を「動的」に変えてみる


といった2点を意識すれば、乗り越えられると思います。

質問者さまに対しては、「いまモチベーションが下がっていても、時間が経って、状況が変われば、嫌でもモチベーションが上がる時期が来るから、いまをゆっくり楽しんでもよいのでは?」と言いたいです。いささか消極的かもしれませんが……。

「貯金しなきゃいけないのに、できていない」のと比べたら、「貯金ができてしまったから燃え尽きた」ほうが、よっぽど健全ですからね。

貯金で「燃え尽きてしまう」のは仕方がないことだと思います。特に、義務感から貯金をしているような方ほど、お金が貯まるにつれて義務感が薄れて、やる気が削がれていくのは自然なことです。

最後に書くとすれば、筆者は「客観的に見た必要性」よりも「個人的に達成したくなるゲームのような感覚」のほうが、モチベーションアップにつながりました(客観的な必要性は貯金するほど薄れていきますが、「去年の自分に勝つ!」というゲーム感覚の目標は、毎年難度が上がっていき、スリリングに感じました)。

貯金で燃え尽きてしまったときに大事なのは「燃え尽き症候群をどうやって乗り切るか?」だと思います。本記事が、質問者さまのモチベーションがあがるきっかけになれば幸いです。
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