まだまだ存在する「尽くす妻」たち
「夫に尽くす」友人の姿が衝撃的すぎた
近所のママ友の家で衝撃的な場面を目撃したと語るのは、エイコさん（40歳）だ。昼前に仲良しのユウカさんとともに、アヤコさんの家を訪れた。3人は同世代、子どもの年齢も近く、その地域に越してきた時期も近かった。「徐々に仲良くなり始めた頃でした。アヤコさんがお昼ご飯をうちで食べようと言うので、ユウカさんと訪れたんです。チャイムを鳴らしたらアヤコさんが出てきて、『ごめんなさい。今日は夫が午後から出社だというのを忘れていて。今出かけるところだからちょっと待ってもらえる？』と。玄関先でなんとなく佇んでいると、ご主人が現れて玄関のたたきのところに座ったんです。アヤコさんは夫に靴下を履かせ、靴を履かせて紐を締めて。さらにネクタイを直したり上着をチェックしたりして、行ってらっしゃいと送り出した。その間、夫は私たちに挨拶はしたけど、アヤコさんには無言のまま。行ってきますとも言わなかった」
夫を送り出したアヤコさんに、「すごいわね。靴下まで履かせるなんて」と言うと、「え？ 普通やるものじゃないの？」とビックリしていたという。
「アヤコさんは夫がお風呂に入るときは自分もTシャツ短パンで入って、背中を流すんですって。ミカンも一粒ずつきれいにむかないと食べない、と。私たちは『介護老人みたいね』とつい笑ってしまいました。どうして夫だというだけで、そこまでしなければいけないのかと聞くと、『うちは両親がそうだったから。夫はうちの両親を見て結婚を決めたと言ってた。尽くしてもらえると思ったんじゃない？』って」
ママ友は言った「夫に尽くす、それが妻の幸せだ」と
ただ、アヤコさんには7歳と5歳のやんちゃ盛りの男の子がふたりいる。ときどき夫にまで手が回らなくなると、夫が不機嫌になるので困っていると話した。「でも結婚するとき、子どもより夫を優先させると誓ったらしいんです。だからこれからも夫には尽くす。それが妻の幸せだと思うからと古風なことを言っていました。うちの夫にそんなことをしたら、『気持ち悪い、やめて』と言われるでしょうね。妻に身の回りの世話を子どものように焼かれることがうれしい男性って、どうも理解できません」
もちろん、夫婦のことは当事者しかわからない。ふたりが幸せならそれでいいのだけれどとエイコさんは複雑な表情になった。
＞えっ？ バナナの皮もむかない夫？
