モラハラ夫と離婚をして実家にもどってみると、そこには年老いた両親が……
家族に仕えた四半世紀だった
「子どもたちを社会に送り出して、これで私の責任は果たした。気難しくて自分勝手な夫とはもう一緒にいたくない。今までは子どものために我慢してきたけど、もう自分のことを考えてもいいのではないか。そう思ったのが5年前です」ユリさん(55歳)は、短大を出て就職した会社の先輩と25歳のときに結婚した。同期でも早めの結婚だったが、当時は「仕事もつまらなかったし、この先、ここにいてもずっと誰にでもできるアシスタント業務だけだと見えてしまった」ので、結婚という逃げ道があってよかったとホッとしたそうだ。
「すぐに娘と息子に恵まれて、専業主婦として家事育児に奮闘しました。夫からは『いいね、きみは。仕事もせずに生活できるんだから』とたびたび言われて。ただ、夫は会社人間でしたから、平日は遅いし週末も仕事やゴルフで出かけていた。ゴルフに行くと言いながら、帰ってきてもゴルフ用具はそのままで、汗をかいた様子もなかったりするので、ゴルフじゃなくて浮気だなと思ったこともありますが、見て見ぬふりをしてきました。なにより生活のためです」
夫の浮気を理由に離婚へ
子どもたちが大きくなってからはパートで仕事をするようになった。自分のお金が少しでも入るのはうれしかったし、職場を通して社会とつながっている安心感もあった。「娘は大学を出て就職、息子は専門学校を出てさらに留学までして帰国後、仕事を始めました。ふたりが社会に出てから、夫とのふたり暮らしが始まったんですが気詰まりで息苦しくて。ふたりなんだからと食事に手を抜くと、『きみは生活をさせてもらっている夫に、こういう食事を出すんだ』と嫌味を言われる。子どもに手がかからなくなったのだから、もっと家の中をきれいにすることもできるよねとも言われました」
私はこんな地獄のような生活をよく耐えてきたものだと、彼女は客観的に自分を見るようになった。何度目かわからないが夫の浮気疑惑があったとき、初めて興信所を使って調べてもらった。あっけなく浮気が判明。ところが夫は「ただの浮気に大騒ぎするな」と激怒。それもすべて証拠にして離婚が成立したのが2年前だ。
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