資産運用

Q. 保有金融資産2億円の51歳男性。リスクを取ってでも運用益が大きい金融商品に投資すべきでしょうか?

投資に関する疑問に専門家がお答えします。今回は、保有金融資産2億円で投資歴20年以上の51歳男性から寄せられた投資スタンスに関する質問です。

和島 英樹

執筆者:和島 英樹

株式投資ガイド

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投資

リスクを取るか、安全を取るかーー?

投資に関する疑問に専門家がお答えします。今回は、保有金融資産2億円で投資歴20年以上の51歳男性から寄せられた投資スタンスに関する質問です。

Q. 保有金融資産2億円の51歳男性。リスクを取ってでも運用益が大きい金融商品に投資すべきでしょうか?

「保有金融資産2億円で投資歴20年以上の51歳男性。年齢が50代なので若い人と比べて運用期間が短くなり、運用益があまり見込めません。リスクを取ってでも運用益が大きいものを選ぶか、運用益が少なくても確実なものを選ぶか迷っています。アドバイスをお願いします」(51歳・男性)

A. 利回りを上げることを心がけるのも一法でしょう

まず、資産運用についてはリスク許容度や目指すべき資産状況が千差万別ですので、これがわからなければ明確なお答えはできません。今回は、ご質問をいただいた方の2億円の内容がわかりませんし、「リスクを取る」というのがどの程度を指すのかも不明です。投資信託や債券投資でもリスクを感じる方もいますし、株式投資はリスクのうちに入らないという人もいらっしゃると思います。リスクを取るというのは信用取引やFX、暗号資産(仮想通貨)投資を指すという投資家もいるかもしれません。

こうしたことを踏まえたうえで、ご質問者の資産が仮に現金や預金100%だとしたら、老後を考えて資産を運用することをお勧めします。現預金100%のまま保有するのは「リスクを取らないリスク」だと、私は思います。メガバンクといわれる大手金融機関の定期預金金利は0.002%(*)で、100万円を預けて年20円ほどの利息しか受け取れません。2億円でわずか4万円です。金利がないのと同じですね。物価が上昇している現状を考えると、むしろ年々目減りしているともいえます。

*1年など期間の短い定期預金の場合。10年物の定期預金では、メガバンク3行がそろって金利を0.2%に引き上げました(2023年11月14日時点)。
 
一方、銀行株の配当利回りは3%程度あるものが少なくありません。配当利回りとは、投資金額に対する配当でのリターンを指します。一例をあげれば三菱UFJフィナンシャルグループの株価は1253円です(2023年11月13日現在)。これに対して1株当たり配当金は年41円。売買単位は上場企業全て100株ですので投資金額は12万5300円(=1253円×100、手数料などを除く)です。これに対し年間配当金は4100円(=41円×100、税金などを除く)で利回りは4100÷12万5300円×100(%)=3.27%となります。

預金に預けて利息が年0.002%なのが、銀行株に投資すると3.27%のリターンです。蛇足ですが、100万円くらい預金しても、銀行員にはたいして喜ばれません。せいぜいティッシュペーパーをくれるくらいでしょうか? ただし株主になると年に一回、「私たちは株主さまのためにこれだけ一生懸命働いた」との報告書が来ます。株主総会に行けば、それは丁寧に応対してくれます。

もちろん、株式には値下がりリスクがありますが、リスクを取る価値はあることがご理解いただけると思います。念のため、私は別に銀行株を勧めているわけではありません。

東証改革の影響で高配当企業が急増

東京証券取引所は現在、資産効率を改善するよう上場企業に促しています。不要な資産などは売却して株主還元に回すといった動きも出ていて、かつてないほどに配当を増やす企業が増加しているのです。配当利回りが4~5%という一流企業も少なくありません。

仮定の話として、仮に2億円を年間利回り2%で運用したら、年間で400万円(税金などを除く)の配当収入を受け取れることになります。

もちろん、株式投資では元本が保証されることはありませんし、大幅な下落リスクもあります。ただ、ご質問者の方が仮に100%現預金だとしたら、収入がなくなった時点で資産を切り崩して生活することになります。また、株価は下がるばかりではなく、業績が伸びていけば方向としては値上りする流れにもなります。

ご参考にしていただければ幸いです。
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