貯蓄

Q. 投資で失敗してしまった場合、少しでも損失を抑えるためにできることはありますか?

インフレの進行や2024年の新NISA導入を控え、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化しようとしています。一方で、「投資は怖い」「自分に合った投資方法が分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな投資初心者の方の疑問に専門家がお答えします。今回は、投資で失敗した場合についての質問です。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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インフレの進行や2024年の新NISA導入を控え、「貯蓄から投資へ」の流れが本格化しようとしています。一方で、「投資は怖い」「自分に合った投資方法が分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな投資初心者の方の疑問に専門家がお答えします。今回は、投資で失敗した場合についての質問です。

Q. 投資で失敗してしまった場合、少しでも損失を抑えるためにできることはありますか?

「もし投資で失敗してしまった場合、少しでも損失を抑えるためにできることはありますか? 投資に関するセミナー等を聴いて興味はあるのですが、失敗談や損をしたエピソードに触れることがなく、気になっています」(35歳)
投資で失敗した場合、損を抑える方法って?

投資で失敗した場合、損を抑える方法って?

A. 損を抑えプラスに転換する方法を3つお教えします

投資の失敗は山ほどあります。参考例として、筆者の2023年の大きな失敗を1つ取り上げます。

筆者は2023年1月に1000万円の損を出しました。損の原因は「日経先物のプットオプション」という投資商品を買ったのが原因でした。

「日経先物のプットオプション」というのは、日経平均株価の先物が下がると儲かる投資商品です。筆者は、世界中の利上げで景気が減速し、日本株が下がる可能性が高いと考えて多額のプットオプションを買っていました。

しかし、この判断は大失敗で、景気は絶好調。日本株は上がり、プットオプションは大暴落しました。投資をはじめて15年目。もっとも大きな損をしました。

失敗の原因は3つありました。

1つ目は「株価の予測」に大きな賭けをしたこと。

未来は不確実なものです。特に、株価の未来は非常に不確実ですから、これに対して大金を賭けたのは間違いでした。

2つ目は「不景気に賭けた」こと。

不景気が起きる可能性はありますが、全体として世界は「不景気を起こさないように」「不景気が起きても乗り越えられるように」努力しています。世の中の方向とは逆方向に賭けたのは、愚かと言わざるを得ませんでした。

3つ目は「ピントのずれた経験則」に賭けたこと。

もちろん、筆者も何も考えずにプットオプションを買ったわけではありません。独自に「金融引き締めは高い確率で不景気を招いた」という経験則を知っていました。

しかし、この経験則はピントがずれていました。

筆者が参考にしたのは日本のバブル崩壊やITバブル崩壊、リーマン危機やコロナ危機といった「最近」の事例が主でした。一方、もっと時代をさかのぼってみると、金融引き締めでもしぶとく好景気が続く例外もあり、今回もその例外に当てはまりました。

部分的には正しいけれど、当てはめる文脈を間違えた……つまり「ピントがずれて」いたのでした。

要するに「景気が悪くなると思って、下がったときに儲かる投資商品を大量に買ったら大損こいた」ということです。1000万円でいったん損切りしました。いやあ、お恥ずかしい話です。

とはいえ、幸運にも損はすでに取り返しました。

いまでは逆に1000万円以上のプラスが出ています。なぜ損を抑え、プラスに転換できたのか、筆者が実施したことは3つあります。

それはそのまま、「損を抑え、プラスに転換する方法」になると思うので参考にしてみてください。

1つ目は「資産の大部分を守るための撤退ラインを決めていた」こと。

どんなビジネスでも「失敗をどう定義するか?」を決めるのは大事です。失敗の定義があいまいだと引くに引けなくなってしまうからです。

我が家では「どんなに損をしても1000万円まで」「粘るのは●月末まで」と撤退するラインを明確に決めていました。

1000万円を失ったのは大きいですが、トカゲのしっぽ切りで資産の大部分を守ることができました。

2つ目は「同じ方法で取り返そうしなかった」こと。

損が膨らむと、つい損を取り戻したい気持ちが湧いてきます。その典型例が「買い増して取り返そう」というものです。

とはいえ、損をして冷静さを失った頭で「追加資金を投入する」のは危険です。ギャンブルのように熱くなってしまっているからです。

相場にはいつでも返ってこれるわけですから、大きく損をしたときには「いったんリセットして、頭を冷やし、同じ方法を繰り返さない」ことが、有用だと思います。

3つ目は「損した以上のことを学ぶ」こと。

投資は「儲けてお金を手に入れる」か「学んで次の損失を防ぐ」かの2択です。

損をしたとき、責任を他人に押し付けるタイプの人は投資には向きません。そういう人は、損をするたびに責任逃れをして学習しないからです。

特に投資は「敗者のゲーム」と呼ばれており、「ファインプレーが多い人が勝てる」というより「ミスが少ない人が勝てる」性質があります。

たとえ1000万円を失っても「今後、同じミスで1000万円を失わない」と学習するだけでも、その学びには1000万円以上の価値があります。

人間である以上、誰にでもミスはあります。1度のミスで深く反省し、次につなげることが大切だと思います。

◆  ◆  ◆

以上。筆者の恥ずかしい失敗談と、振り返りでした。

ちなみに筆者は、7月にも別件で1000万円を失いました。我ながら、自分の愚かさが嫌になっちゃいます。7月の件については、要望があればまた別の機会に書こうと思います。

「未来は誰にも分からない」という性質上、投資では何が起きるか分かりません。今後も筆者は、1000万円以上を失うこともあるでしょう。

しかし、地に足をつけて失敗から学び続け、着実にミスを避けていれば、満足できるリターンは得られると考えています。

書きながら「うわあ、恥ずかしいな~」と思いますが、反面教師としてお役立ていただけたらうれしく思います。
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