電気代増加を懸念し、「待機電力」をカットしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。「待機電力」とは、一部の家電製品において、使用していないときにかかる一定の消費電力のことで、「主電源を切る」「電源プラグをコンセントから抜く」といった方法でなくすことが可能です。今回は「待機電力が大きく、電源プラグを抜いても問題ない家電」や「電源プラグを抜いてはいけない家電」「待機電力カットのために気を付けるべきポイント」について解説します。
「待機電力が大きい家電」はどれ? 年間いくらかかる?
資源エネルギー庁 省エネルギー対策課の「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書」によると、1世帯あたりの全消費電力量は年間4432kWh(1kWhあたり31円換算で13万7392円)で、待機時消費電力量はそのうち約5.1%の年間228kWh(同7038円)と推計されています。
この調査によると、待機電力と年間電気代の目安は以下の通りです。
●プロジェクター:6.31W(年間約1714円)
●テレビ:3.04W(年間約826円)
●外部記憶装置:2.33W(年間約633円)
●BD・HDD・DVDレコーダー:1.28W(年間約348円)
●温水洗浄便座:1.08W(年間約293円)
●食器洗い乾燥機:0.93W(年間約253円)
●電気炊飯器:0.63W(年間約171円)
●プリンター:0.62W(年間約168円)
●家庭用照明器具(リモコン付き、センサー付き):0.61W(年間約166円)
●冷暖房兼用エアコン:0.55W(年間約149円)
●ポータブルオーディオシステム:0.51W(年間約138円)
●空気清浄機・イオン発生機:0.46W(年間約125円)
●BD・HDD・DVDプレーヤー:0.44W(年間約119円)
●加湿器:0.43W(年間約117円)
●パソコン:0.41W(年間約111円)
●扇風機・サーキュレーター:0.4W(年間約109円)
●モニター:0.39W(年間約106円)
●食器乾燥機:0.29W(年間約79円)
●衣類乾燥機:0.28W(年間約76円)
プロジェクターやテレビ、レコーダー、温水洗浄便座などが待機電力が大きく、電源プラグを抜く効果が高いことが分かります。
この数字は2012年当時に販売されている家電製品の待機電力を調査したもので、現在はさらに省エネになっている可能性はあります。とはいえ、多くの家庭では10年ほど家電製品を使われると思うので、だいたいの目安になるのではないでしょうか。
「電源プラグを抜いても問題ない家電」はどれ?
上記のリストの中で、使わないときに電源プラグを抜いても比較的問題がないものは以下です。
●プロジェクター:6.31W(年間約1714円)
●外部記憶装置:2.33W(年間約633円)
●食器洗い乾燥機:0.93W(年間約253円)
●電気炊飯器:0.63W(年間約171円)
●プリンター:0.62W(年間約168円)
●冷暖房兼用エアコン:0.55W(年間約149円)
●ポータブルオーディオシステム:0.51W(年間約138円)
●空気清浄機・イオン発生機:0.46W(年間約125円)
●BD・HDD・DVDプレーヤー:0.44W(年間約119円)
●加湿器:0.43W(年間約117円)
●パソコン:0.41W(年間約111円)
●扇風機・サーキュレーター:0.4W(年間約109円)
●モニター:0.39W(年間約106円)
●食器乾燥機:0.29W(年間約79円)
●衣類乾燥機:0.28W(年間約76円)
プロジェクターはどの家庭にもあるものではないかもしれませんが、所有している人は抜いてみてもいいかもしれません。
「電源プラグを抜いてはいけない家電」ってある?
待機電力は「リモコンなどの操作をいつでも受けられるようにする」「指定時刻から予約録画などの動作を行うために待機する」といった目的のために使われています。そのため、電源プラグを抜いたり主電源を落としたりすることによって、これらの動作ができなくなってしまう点には気を付けましょう。
上記の理由から、電源プラグを抜いておくことをおすすめしない家電は以下の通りです。
●テレビ
●BD・HDD・DVDレコーダー
●温水洗浄便座(貯湯式)
●電気炊飯器(予約炊飯を行う場合)
テレビの場合、本体の近くまで行って主電源ボタンを押さないとリモコンによる操作が全く行えないですし、テレビ内蔵の録画機能も使えなくなります。これはBD・HDD・DVDレコーダーなども同様です。レコーダーに求められる機能が全く使えなくなってしまうため、テレビやレコーダーでテレビ番組を録画したいという人には、主電源のオフや電源プラグを抜くことはおすすめしません。
温水洗浄便座はお湯をタンクにためておく「貯湯式」と、洗浄時に水を温めて噴射する「瞬間式」の2つに分かれます。瞬間式の場合は電源プラグを抜いても問題ありませんが、貯湯式の場合はお湯が出なくなってしまうためおすすめしません。
電気炊飯器は、電源プラグを抜いてしまうと予約炊飯ができなくなってしまいます。予約炊飯を使わないのであれば、電源プラグを抜いていても大丈夫です。
そのほか、先ほどの報告書で比較的待機電力が大きいものの、電源プラグを抜いておくことをおすすめしない機器は以下の通りです。
●回線終端装置:5.72W(年間約1553円)
●パソコンネットワーク機器:2.48W(年間約673円)
●固定式電話機:1.44W(年間約391円)
●FAX機能付き電話機・FAX専用機:1W(年間約272円)
これらの機器はインターネットや電話などの通信に用いられるため、電源プラグを抜くと通信や電話、FAXが使えなくなってしまいますので注意してください。
待機電力カットのために気を付けるべきポイントは?
実際に主電源をオフにしたり電源プラグを抜く際に気を付けたいポイントを紹介します。
●個別スイッチ付きの電源タップを使う
テレビなどは主電源ボタンを搭載していますが、多くの家電はそういったボタンを備えていません。そのため、待機電力をゼロにするためには電源プラグをコンセントから抜く必要があります。いちいち抜き差しするのは大変なので、コンセントごとにオン・オフスイッチを搭載する電源タップを使うことをおすすめします。
ただし、電源タップ本体や、スイッチごとにランプを搭載し、オン・オフが分かりやすくなっている電源タップには注意しましょう。電源タップ自体に待機電力がかかってしまうためです。より省エネを目指すのであれば、ランプを搭載しない個別スイッチ付き電源タップをおすすめします。
●電源をオフにしてから電源プラグを抜く
個別スイッチ付き電源タップを使う場合は不要ですが、コンセントから電源プラグを抜き差しする場合は本体の電源をオフにしてから電源プラグを抜くようにしましょう。コンセントから抜く際に火花が飛んでホコリなどが発火する「トラッキング現象」が発生する危険性があるためです。
最後に、待機電力は決して小さくはありませんが、家電を使用しているときの消費電力に比べると小さいのは確かです。待機電力を徹底的になくすことよりも、むやみに家電を使わないことの方がより効果があります。無理のない範囲で省エネを心がけるようにしましょう。