「いまからでも仮想通貨を買ったら、儲けられるのでしょうか?」
今回は、この質問にお答えします。
そもそも、儲かる投資先には、どんな共通点があるのか?
答えを書くまえに、まずは「そもそも儲かる投資先には、どんな共通点があるのか?」について説明します。筆者は、投資を「いま手元にあるお金を使って、将来の収入を買うこと」と定義しています。投資先になり得るのは「継続的な収入を生んでくれて、プラスサムゲームになる何か」です。
プラスサムゲームとなる投資先といえば、たとえば債券や株式が挙げられます。
1つ目の債券投資は「お金を貸して、利息を受け取る」というものです。国にお金を貸すのが国債。一部の地域にお金を貸すのが地方債。会社にお金を貸すのが社債。貸付先によって、債券の名前が違います。
債券投資は要するに「金貸し」で、お金を貸し出すと、あらかじめ決められたレートの利息収入を受け取ることができます。たとえば、さいきんアメリカでは金利が上がっていて、短期国債を買うと年率5%くらいの利息を受け取ることができます。
2つ目の株式投資は「企業オーナーの一員になって、利益の一部を配当として受け取る」というものです。投資先は営利企業で、自動車メーカー、銀行、不動産など、さまざまな業態の会社に投資することができます。
株式投資は要するに「ビジネスオーナーになること」で、投資先が稼いだお金の一部を、配当として受け取ることができます。また、ビジネスオーナーなので、投資先企業に配当を請求したり、投資先の経営に参画したりすることもできます。投資先が成功すれば、成長とともに配当が増えて、大きなリターンを稼げる可能性もあります。「出世払いの債券」みたいな感じです。
債券投資と株式投資。この2つに共通しているのは、いずれも「収入のある組織にお金を委ねている」点です。
債券投資では、税収のある国や地方自治体、会社にお金を委ねます。株式投資では、営利目的で経営されている会社に、お金を委ねます。
投資家は「いまあるお金」を投資先に差し出し、投資先は「将来、稼いだお金の一部」を投資家に還元する。これが、投資の基本です。
投資先は経営資金を調達できて満足。投資家は利息や配当を受け取れて満足。全員で儲かって「ハッピー!」という具合です。もちろん、すべての投資がうまくいくワケではありません。しかし、それでも債券投資や株式投資では、「手堅く投資している限り、参加者全員で儲けられる可能性がある」と言えます。
プラスサムゲームとなる投資先は、債券や株式だけではありません。
よくあるのが「お金以外のレンタル」です。不動産を買ってレンタルするのが不動産投資です。他には、著作権や特許を買って利用料を貸し出す「権利収入」、自動車を買って貸し出す「レンタカー」や、おもちゃを買って貸し出す「おもちゃのサブスク」といったやり方もあります。
お金を貸すのが債券投資ですが「ものを貸し出す」という形でも、プラスサムゲームの環境を作れるというワケです(もちろん、誰も借りてくれなければ収入は得られないので、目利きが必要になってきますが)。
仮想通貨を今から買って儲けられる?
そろそろ本題へ移りましょう。では、仮想通貨はどうでしょうか?仮想通貨がプラスサムゲームになるには「仮想通貨そのものが利息や配当のような継続的な収入をもたらす」か、あるいは「仮想通貨を誰かに貸し出すことで、レンタル料を請求できる」か、いずれかの条件を満たす必要があります。
では、仮想通貨は「持っているだけ」で収入が得られるでしょうか?……筆者の知る限り、そういう話は知りません。
仮想通貨の価格が上がったり下がったりすることで、一部の人が儲けることはできるでしょう。
しかし、永遠に値上がりすることは不可能です。価格変動だけが収入源となると勝ち組と負け組が生まれて、それでは「全員が儲ける」には不十分です。全体では手数料分の「マイナスサムゲーム」になってしまうでしょう。
あるいは、仮想通貨は「誰かに貸し出すこと」で収入が得られるでしょうか?……この方法なら、ある程度の収入は稼げるかもしれません。歴史が浅い分野ですし、高いレンタル料を請求できる可能性があります(一部の暗号通貨取引所では貸し出しができるみたいです)。
したがって、筆者の答えとしては、「仮想通貨自体が収入を生むことはないから、仮想通貨を持っているだけで儲けるのは難しいと思う。しかし、仮想通貨を買って、それを誰かに貸し出して利息を受け取るのであれば、プラスサムゲームになりそうだ」です。
まとめ
要点をまとめると、◯そもそも投資とは「いま手元にあるお金を使って、将来の収入を買うこと」
◯プラスサムとなる投資先は「収入のある組織」か「レンタルできるもの」が一般的
◯仮想通貨は組織ではないから、儲けたいなら「レンタル」が基本になると思う
という3点に集約できます。
かつて筆者は「仮想通貨は収入を生まないから、投資先としては不適格だ!」と頭ごなしに否定していたこともありました。しかし、「持っているものを貸し出して儲ける」というやり方もありますし、頭の使い方しだいでは良い投資先かもしれません。視野が狭かったと反省しております……。