憧れの先輩と再会、デートを重ねたのちに結婚してみたものの
夫は学生時代の憧れの先輩
「学生時代の憧れの先輩だったんですよ、夫が。歴史関係のサークルにいたんですが、彼はとにかく博識で、何か質問してもすぐに答えが返ってくる。歴史だけじゃなくて文学や文化にも強かった」学生時代を振り返って、そう話すシノブさん(42歳)。卒業後、就職した会社が都心のビル街にあったのだが、昼休みにいきなり声をかけられた。
「のちに夫となった先輩がいたんです。びっくりしたけど、そういえばお互いに勤め先の本社は近かった。彼は配属が関西だと聞いていたけど、そのときはすでに本社に戻ってきていたんです。私が27歳のときでしたね。2つ年上の彼と、そこから一気に親しくなりました」
もともとの人柄はわかっているし、ふたりとも年齢的に結婚を意識していたから、話はトントン拍子に進んでいった。
「彼は相変わらず博識で話題も豊富。気軽なデートを重ねていたら、あっという間に1年くらいたっちゃって。彼にいきなり『結婚しよう』と言われて、うんと答えてしまいました」
結婚したら次々にメッキが剥がれて
28歳と30歳で結婚。結婚後も共働きをしながら、生活を楽しんだ。ところが結婚前に気づかなかったことに、シノブさんは気づいていく。「共通の友だちも多いから、ときどきみんなで会ったりしていたんです。昔はわからなかったけど、彼はそういうときも博識を振りかざす。ところが周りはけっこう『また始まったよ』『知ったかぶり』『あれって雑誌の受け売りだよね』なんて笑いながら聞いている。私は彼が深く考察して出した結論だと思っていたんですが、すべてどこかからもらってきた知識や考えだったんです。もしかしたら、とうとうと気持ちよくしゃべっている彼をすごいと思いながら見ていたのは、昔も今も私だけなのかと思い至りました」
彼を人生の伴走者として選んだのは間違っていたのだろうかと不安がよぎった。
>会社の広報関係の部署に異動してからさらに……