夫が地下アイドルに夢中に
帰宅が遅くなり、夫の様子がおかしい
「今年に入ってから、なんだか夫の様子がおかしかったんです」メグミさん(46歳)はそう言う。もうじき50歳になる夫とは結婚して17年、高校生の娘と中学生の息子がいる。娘はバレーボール、息子はバスケットとふたりとも好きなことに夢中だ。メグミさんも「ユニフォーム代を稼がないといけない」のでパートに精を出している。
「子どもたちは明るく元気に育っているし、家族の仲もいい。ふだんからコミュニケーションを大事にしているし、夫の発案で月に1度は外食するし。だいたい食べ放題の店ですが、子どもたちは楽しみにしているようです」
家族に関しては、悩みごとなどなかったというメグミさんだから、夫の様子がおかしいことには心を痛めた。
「週に1回くらいは不自然な感じで帰宅が遅くなる。土曜日に出かけることが増えた、そして帰宅してから自室に直行することがある。夫は帰ってきてもリビングでしゃべっていて、なかなか自室に着替えに行ってくれないことが多いんです。まずは手を洗って着替えて、と子どもに言われるくらい。それが帰宅するやいなや自室に直行ということがある。変だなあと思うと私は黙ってはいられない」
寝室でこそこそする夫に声をかけたら
夫に、最近おかしいよと指摘した。夫は「何でもない」と言い張ったが、ある日、やはり自室に直行したのであとをついていった。「マンションは3LDKで、部屋は子どもたちにひとつずつと私たち夫婦の寝室。そして4畳程度のサービスルームがあるんですが、そこをコロナ禍に在宅ワークが増えた夫の仕事部屋にしたんです。夫が直行するのはその部屋。あとをついていって、『何をこそこそしているの』と言ったら振り返った夫が、すごくびびったような顔をして……。『浮気してるの? 相手はどこの誰?』と凄んだら、違うよって泣きそうになった」
その晩、夫が「実は」と打ち明けたのは「地下アイドルにはまっている」という事実だった。あるとき偶然、ネットで見かけた10代の女の子グループに魅せられ、どうしても本物が見たくなって彼女たちが出る場所へ行ってみたそう。
「けなげにがんばる若い女の子たちに心を揺さぶられ、なおかつ“推し”ができて応援している、と。お父さん、何してくれてるのという感じですよね。でも夫は意外と同世代も多いんだよとヘラヘラ言うんです」
呆れるというかなんというか、とメグミさんはため息をつく。
>夫の仕事部屋にはチェキやらグッズやらが……