Q. 電磁波は脳に影響しますか? スマホを隣に置いて寝ると、頭痛がする気がします
スマホを寝室に持ち込むようになってから不調が続く…。もしかして電磁波のせい?
電磁波は目に見えないもので、イメージしにくいためか、人体に悪影響を及ぼす怖いものだと思われている方もいるようです。「スマホの電磁波が脳に悪影響を及ぼす」などと聞くと、不安になってしまうでしょう。その真偽と、考えられる不調の原因について、わかりやすく解説します。
Q. 「電磁波は脳に悪影響を及ぼすのでしょうか? 知人から、スマホの電磁波は脳に悪いから気をつけた方がいいと聞いて不安になりました。そう言われてみれば、スマホを枕元に置いて寝るようになってから、朝の頭痛や体調不良が増えた気がします。電磁波に対して、どう対策すればいいですか?」
A. 電磁波は脳に影響しません。対策すべきはおそらくスマホの使い方です
「スマホから発せられる電磁波が脳に悪影響を及ぼす」というのは、科学的根拠の全くない噂に過ぎませんから、信じてはいけません。「電磁波」という言葉から、脳を細かく振動させるような何らかのパワーがあるようなイメージを持たれているのかもしれませんが、そのような力はありません。「スマホを枕元に置いて寝るようになってから、不調が起こる」という点についてですが、脳に影響のしようがないので、これも電磁波が原因とは考えられません。
気のせいではなく実際に不調を感じられているのなら、おそらく、寝る直前までスマホを使うような生活習慣に問題があると考えるべきでしょう。
睡眠は、心(脳)と体を休ませるために大切なものですが、質の良い睡眠をとるためには、「暗い環境」が必要です。脳の中の「松果体(しょうかたい)」という部分では、体内時計を調節する「メラトニン」というホルモンが分泌されていますが、その分泌量は目から入ってくる光の量によって変化します。日中の明るいときは、目から入ってくる光刺激によってメラトニンの分泌が抑制されるため、眠気は起きにくいです。夜になって暗くなり、目から入ってくる光刺激がなくなるとメラトニンの分泌が高まり、眠りやすくなります。これが自然の明暗リズムに合わせた、理想的な睡眠のとり方です。もしベッドに入ってからもスマホの明るい画面を見続けているようでは、寝つきは当然悪くなります。
また、眠る直前までスマホを見ていると、情報によって脳が興奮して寝付けなくなるほか、内容によっては夢見が悪くなったり、途中で目が覚めやすくなったりすることもあります。睡眠の質が低下すると、体や心の休息が十分とれずに疲労感が残るだけでなく、精神不安定にも陥りやすくなり、日中の活動にも悪影響がでてきます。
電磁波は脳に影響しませんが、スマホの見過ぎで睡眠が妨げられた場合は、頭痛や物忘れが起きても不思議ではないのです。根拠のない電磁波の心配をするのではなく、生活習慣を見直しましょう。とくに心配事や悩み事があり、現実逃避する目的でスマホを利用し続けていると、依存症になる恐れもあります。枕元にスマホを「置く」だけなら何ら問題はありませんが、寝る直前まで「見る」生活は、健康のためにもやめたほうがいいでしょう。