高校時代の片思いの彼と48歳で結婚
「私は48歳で初婚です」恥ずかしそうにそう言うのはヨウコさん(48歳)だ。この春、結婚した相手は高校時代の片思いの彼だった。
西日本のとある市の高校に通っていたヨウコさんだが、高校2年のころ父親が事業に失敗し、一家離散となった。バブル崩壊をまともに食らったのだ。
「不動産業をしていた父は景気がいいときに調子に乗って事業を拡大、借金もしていろいろな投資もしていたようです。夜逃げ同然で、私は母とふたりで東京の親戚を頼りました。数年後、父と再会しましたがすでに病気で余命いくばくもない状態でした」
幸い、母は借金の保証人にはなっていなかったので、それからは母とふたりで働きながら生活をしてきた。
「私は高校も中退してしまった。18歳以降はパブやスナックなどで働き、生活はなんとかなりましたが、20歳を過ぎてから勉強したいと思うようになったんです。一念発起して高校卒業認定試験を経て大学に入学しました。昼は勉強、夜は水商売をしながらがんばりました。若いから体力もあったし」
その後、接客した会社社長に請われて、その企業に入社した。最初は社長の愛人じゃないかと疑われたこともあったという。
「その社長は素晴らしい人だったから、社長が疑われるのがつらかった。でもそれは仕事で返すしかないと社長に諭されて……。必死で仕事をしてきました」
私が恋愛に夢中になれなかった理由
それなりに恋愛もしたが、結婚する気にはなれなかった。バブルに踊らされた父、苦労した母を見てきたせいかもしれないと彼女はつぶやく。もうひとつ、恋愛に夢中になれなかった要因は、高校時代の片思いの彼だった。
「優しい人でクラスの人気者でした。サッカー部のキャプテンで勉強もできてと、漫画の世界の人みたいだった。別れも言えずに高校をやめたので、私のことなど覚えていないだろうけど、私はときどき、彼のことを思い出していました」
とはいえ、高校時代の友人の連絡先さえわからなくなっていた。東京に出てきてからも何度も引っ越しているから、同窓会の案内があったとしても届かなくなっている。そもそも同窓会名簿に自分の名前が掲載されているとも思えなかった。
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