毒舌と悪口は違う
「うちの妻はよく、人に対して“瞬間的な悪口”を言うんですよ。だけど自分では、いわゆる“毒舌”で、周りもおもしろがっていると思ってる。それがちょっとね……」マサヤさん(41歳)が言う、“瞬間的な悪口”というのは、たとえば誰かの名前が出たときに、「ああ、あの顔がかわいそうな人ね」と妻が言うことだ。本人はそれを悪口ではなく、毒舌がかった冗談だと思っているから、始末が悪いとマサヤさんは困惑する。
「僕の感覚でいえば、毒舌もたとえば権力や社会構造みたいなところに言及したほうがかっこいいですよね。だけど妻のは、そもそもただの悪口だし、しかもちょっとひねりがあると本人が思っているのは、ただの嫌味でしかない。外見にこだわるし、テレビを見ていてもやたらと『この人、老けたね』『太ったんじゃない?』と芸能人をディスるわけです。知り合いに面と向かって言ってるわけじゃないんだからいいでしょと言いますが、こういう人がネットに匿名で誹謗中傷を書くんじゃないかなと思ってます」
妻の外見批判に物申した夫
1日仕事をして疲れて帰ってきて、たとえテレビに向かってでも人の悪口を言っているのを聞くのは、あまり愉快ではない。子どももいるんだし、もうちょっと前向きな言い方はできないのときいたこともある。
「そうしたら、これは私のストレス解消なの。私はあなたみたいに飲みに行くこともできないんだから、そのくらいいいじゃないと言われました。妻だって、ときどきパート仲間とカラオケに行くと言って深夜まで帰ってこないのに……。僕のほうが飲みに行く回数が多いから対等じゃないんだそうです。だからってネガティブな言葉を聞かされていいわけじゃないだろと言ったら、『私の毒舌、わりと評判いいのよ』って。なんでも批評家的に断言したり、とにかく否定するためにだけ話すから評判がいいとは思えないんですけどね」
言葉のチョイスはセンスと思いやりの問題だと、マサヤさんは言う。少なくとも、ネガティブな言葉、人を傷つける言葉はやめたほうがいい。そのうち大きなブーメランになると思うよと、彼は妻に警鐘を鳴らしている。