耳・鼻・喉の病気

Q. 耳掃除はなぜ気持ちいいのでしょうか?

【耳鼻科医が解説】「耳掃除をしてはいけない」と言われても、耳掃除が気持ちよくてやめられないという人もいるようです。なぜ耳掃除は気持ちいいのか、わかりやすく解説します。

坂田 英明

坂田 英明

耳鼻科医 / 耳・鼻・喉の病気 ガイド

医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。東京大学医学部客員研究員、埼玉県立小児医療センター副部長、目白大学保健医療学部教授を経て、現在川越耳科学クリニック院長を務めています。医療を受け身でなく、自ら能動的に判断、行動して生活していただけるよう日々の健康に関する話題をご提供してまいります。

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Q. 耳掃除はなぜ気持ちいいのでしょうか?

耳掃除をする女性

耳掃除をすると気持ちよく感じるのはなぜ?


耳掃除はしてはいけないとわかっていても、気持ちよさから、耳かきや綿棒で掃除をするのがやめられないという人もいるようです。なぜ耳掃除は気持ちがよいのでしょうか?

Q. 「耳掃除が気持ちよくてやめられません。なぜ耳掃除をするだけで、眠くなるほど気持ちよくリラックスできるのでしょうか?」
 

A. 耳には、触れるほど気持ちよくなる迷走神経が走っているからです

耳には「迷走神経」という神経が走っていて、この部分は触れれば触れるほど気持ちよくなる性質があるためです。耳掃除が気持ちいい至福の時間と感じる人が多いのはこのためだと考えられます。ここで言う「耳」とは、顔のパーツとして見えている「耳介」と、一般的に「耳の穴」と呼ばれている「外耳道」を指します。

もう少しだけ正確に、詳しく説明しましょう。

東洋医学には「耳ツボ治療」という概念があるようですが、西洋医学的に見ても、耳には実際に多くの神経が複雑に分布しています。耳のツボ・神経を刺激して健康に役立てようとする試みの歴史は古く、古代ギリシャの医師ヒポクラテスも「耳介治療」をしていたという記録が残っています。

耳には、迷走神経の枝である「耳介枝(じかいし)」が分布しています。迷走神経は、体をリラックスさせる「副交感神経」を支配しています。

耳掃除をすることで迷走神経が刺激されると、副交感神経も刺激され、脳は非常にリラックスした状態になり、オキシトシンというホルモンを分泌します。オキシトシンが分泌されると、別名「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニンの分泌も誘発されます。つまり、耳掃除をすることでセロトニンが増え、幸福感や気持ちよさや感じるのです。

一方で、迷走神経を刺激すると咳反射が誘発されて、咳き込んでしまうタイプの方もいます。そしてやはり、耳の過度な刺激や耳掃除には注意が必要です。リラックスすることも大切ですが、気持ちいいからという理由で耳掃除に夢中になるのは、耳鼻科医としてはおすすめできません。

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