「子どもより子どもと化した」夫
「うちの夫、最近は子どもにまで『パパ、幼稚すぎる』と言われているんですよ。なんだか情けなくなってきた」泣き笑いのような表情でそう言うのは、イクコさん(40歳)。3歳年上の夫との間に、9歳と6歳の子がいる。
「子どもが生まれたばかりのころは、夫もどう扱っていいかわからなかったみたいなんですが、立って歩いてしゃべるようになったら、ものすごく子どもがおもしろいと言うようになった。それはいいんですが、さらに大きくなった今は、子どもと一緒に遊ぶというよりは子どもに遊んでもらっている状態」
9歳の長女には、しょっちゅう「パパ、うるさい」「パパって子どもみたい」「しつこい」と怒られているそうだ。同じことを何度もやって笑わせようとするのだが、それがちっともおもしろくないと長女は不満を口にしている。
「家族で出かけるときも、玄関で靴を履こうとしてずっこけてみたり、帽子をくるっと回してかぶろうとして失敗したり。長女は『またやってる』って。放っておきなさいと言うしかありません」
子ども以上にはしゃいでみせる夫だが、子どもの機嫌をとっているわけではなく、本気でふざけているらしい。
「やっぱり笑いはシンプルがいちばんだよと夫は言うんです。だからコケてみたりするんでしょうけど、それはシンプルではなく単純なんですよね」
「これって暴力だよね」と長女は冷たい
夫の好きなお笑いは、ドタバタのコント。最後には相方の頭を張ったりするものも好みだが、長女は「これって暴力だよね」と冷たく言う。「私の影響でしょうか、長女は落語好きなんですよ。9歳にして、人の業を認めることがわかっているというか(笑)。だから夫をディスってはいるけど、そこはかとなく同情もしている感じで、私は娘の大人びた対応を偉いなと思っています。私なんか夫には『それ、つまらないから』とにべもなく言ってしまうので」
単純な笑いを好み、人間関係も「いい人だから好き」と言ってしまう夫。言葉の裏を読むことなどまったくないから、人を疑うこともない。そんな夫が会社では案外、重宝されてもいるらしい。
「まあ、人として悪い人ではないというただ一点で、結婚生活が続いているようなものです。私はもうちょっと深い話をしたいこともあるけど、夫は『結論が出ない話をしてもしょうがないよね』と明るく言うタイプなので」
困ることもあるものの、決定的に嫌いになれないのは、夫には「人のよさ」があるからだとイクコさんは言う。
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