二人以上世帯では、老後の心配度合いはどうなる?
老後について心配だと感じる人は、多いのではないでしょうか。もし子どもがいれば、教育費や住宅費用がかさみ、老後費用をしっかり準備できるか不安な方もいらっしゃると思います。実は貯蓄の金額によって、「老後の心配の度合い」は異なるのです。今回は、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2022年)の「老後の生活についての考え方」より、貯蓄次第で老後の心配がどれだけ違うかについてお伝えします。
※当記事の「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさします。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。
一人暮らしに比べると、同じ貯蓄額でも二人以上世帯の方が「老後の心配度」は低め?
二人以上世帯も、貯蓄が増えると「老後の心配度」がダウン
「老後の生活(高齢者は今後の生活)」において、「それほど心配していない」「心配である(多少心配・非常に心配)」という、心配の度合いについてのデータを貯蓄別に抜粋しました。●貯蓄100万円未満(金融資産非保有を除く)
- それほど心配していない……8.9%
- 心配である……91.1%
→多少心配……36.4%
→非常に心配……54.7%★
●貯蓄500万~700万円未満
- それほど心配していない……18.4%
- 心配である……81.6%
→多少心配……44.0%
→非常に心配……37.6%★
●貯蓄1000万~1500万円未満
- それほど心配していない……25.1%
- 心配である……74.9%
→多少心配……48.7%
→非常に心配……26.3%★
●貯蓄2000万~3000万円未満
- それほど心配していない……36.4%
- 心配である……63.6%
→多少心配……48.0%
→非常に心配……15.6%★
●貯蓄3000万円以上
- それほど心配していない……51.2%
- 心配である……48.8%
→多少心配……38.7%
→非常に心配……10.1%★
上記の★印に注目してみてください。「非常に心配」と答えた人の割合が、貯蓄が増えるにつれて、54.7%→37.6%→26.3%→15.6%→10.1%と、明らかに減っていることがわかります。
貯蓄が3000万円以上の人では、「それほど心配していない」という人が半数以上もいます。老後の心配度は、貯蓄が多ければ多いほど減り、少なければ少ないほど増えるという具合に、貯蓄額に反比例していますね。
一人暮らしと比べると「非常に心配」な割合が低い
次に、同調査の一人暮らしのデータと比べてみましょう。同じ貯蓄額でも、「老後の生活が非常に心配」だと答えた割合が、「二人以上世帯」の方が少し低いケースもあります。
「非常に心配」と答えた人の割合
●貯蓄100万円未満
- 一人暮らし……53.7%
- 二人以上世帯……54.7%
●貯蓄500万~700万円未満
- 一人暮らし……41.8%
- 二人以上世帯……37.6%★
●貯蓄1000万~1500万円未満
- 一人暮らし……34.2%
- 二人以上世帯……26.3%★
●貯蓄2000万~3000万円未満
- 一人暮らし……23.9%
- 二人以上世帯……15.6%★
●貯蓄3000万円以上
- 一人暮らし……9.5%
- 二人以上世帯……10.1%
★印のように、一人暮らしの人に比べると、二人以上世帯の方が「非常に心配」という割合が低いケースが多く見られます。
同じお金があれば、二人以上で使うよりも、一人で使う方がゆとりがあるように思えますよね。二人以上世帯は、今後大きな教育費がかかるであろう、子育て中の家族も含まれるので、何かとお金がいることも多いでしょう。
一方で、二人以上世帯は、何かあったときに「パートナーの収入にも期待できる」「お互いの面倒を見られる」「子どもや孫に助けを求められる」という安心感もあるものです。
それゆえ、貯蓄額がそれほど多くなくても、一人暮らしの人に比べれば老後への不安感はやや減っていることにつながるのでしょう。
以上、調査結果をもとに「老後の心配度」が貯蓄に反比例しがちだという傾向をお伝えしました。
老後の心配度は、決して“貯蓄額”だけが影響するわけではありません。パートナーや家族、友人、近所の人との“人間関係”のほか、趣味や仕事などによる“生き生き感”なども大きく影響するでしょう。それらは、若いときから築き上げていくものです。
ぜひ、貯蓄を増やしていくとともに、さまざまな人間関係や趣味なども大事にしていきたいですね!