亀山早苗の恋愛コラム

病気の夫に「性」を求めてしまう自分が恥ずかしい。“できない”夫からの意外な提案に妻は…(2ページ目)

夫婦は「レス」だから不幸なわけではない。まるで場違いな状況下で「性」をもとめてしまう身勝手さを恥じる妻に、夫は意外な提案をした。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫婦間の「性」の問題をきちんとクリアに

その後すぐ、ふたりはきちんと話し合った。

「私は性欲があるけど、夫はできない。それぞれ自分が悪いわけではないことを確認して、じゃあ、どうしようかと。夫は女性用風俗みたいなところで解消してきてもいいと言いました。予約してみようかとも思って検索したけど、あまり心に響かなかったんですよね。はたして私は本当に行為そのものを求めているのかと考えたら、どうもそうではなさそう。何がほしいのか。結局、夫との気持ちのつながりだったんです」

一緒にお風呂に入ってみた。入浴中、さまざまな話をすることができた。また、トモカさんが疲れていると察すると、夫はマッサージをしてくれた。夜は抱き合ったまま眠ることも増えた。

求めていたのは「行為」ではなかった?

「性行為そのものを求めているわけではなかったと、はっきりわかりました。一緒にお風呂に入るのは恥ずかしかったけど、互いの背中を流したりしながら、いろいろな話をして……。肉体の接触自体はあるので、それだけで私は実は満足だったんです」

お互いに相手を真正面から見ること、心の中を言葉にして伝え合うこと。それが重要だとふたりとも身に染みてわかったのだという。すぐにそういうことができたわけではない。時間はかかったし、今も努力中だと彼女は言う。

「ただ、私たちが仲良くなったことで子どもたちが変わりました。明るくなったし、私も早く帰るようになって、一家でいろいろな話をするようになった。家族旅行もたびたびしていました。些細なケンカはよくあるし、最近ではそのつど、『仲がいいからケンカするのかねえ』と娘たちに冷やかされています」

この人を選んでよかった。どちらかが逝くときにそう思うのが目標。

「セックスレスじたいが問題なのではないと思う。レスだからと笑ってごまかすより、問題を直視したほうがのちの人生、楽しくなる。今はそう感じています」

トモカさんは、明るい口調でそう言った。
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